俺のスパダリはギャップがすごい 〜いつも爽やかスパダリが豹変すると… 〜

葉月

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第五弾

蓮との同棲 ①

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真司の住んでいるマンションの工事終了まで、残りあと1日となった。
蓮との暮らしが終わってしまうのは寂しかった。が、これで蓮の仕事の邪魔をしなくていいと思う事で自分を納得させようとしていた。

「真司、何してるんだ?」
部屋の片付けをしている真司に蓮が声をかけた。
「マンションの工事、明日で終わるから今のうちに荷物まとめておこうと思って」
荷造りをしていた真司が蓮の問いかけに一旦手を止めた。
「実はその事なんだけど…」
蓮は何か言いにくそうにしている。
「ん?」
「……真司…一緒に暮らさないか?」
「え⁉︎」
真司は心底驚いた。
「だって、ほら。今からマンションに帰ったって、また家具とか電化製品とか、一から買い直さなきゃいけないだろ。でも、ここだと全部揃ってるし…食事だって俺が作る。…それよりなにより…」
「なにより?」
「俺が真司と一緒に暮らしたい」
恥ずかしそうに蓮が呟く。
「でも、それだと蓮の負担が多くなるし、蓮の仕事にだって支障が出るかもしれない」

俺だって一緒に暮らしたい。
だけど…

「負担にならないし、支障もでない…真司は俺と一緒に暮らすのは…嫌か?」
蓮は少し寂しそうに俯く。

‼︎‼︎
そんな仕草しれたら…
そんな事言われたら…

「そんなわけないだろ。俺も蓮と一緒に暮らしたい」
「ほんとに⁉︎」
蓮は嬉しそうに顔をあげた。

可愛すぎる!

真司は蓮を抱きしめる。

「先に言っておくけど、多分、蓮は家賃も光熱費も食費も全部自分が出すって言うと思うけど、それは全部折半!」
蓮は真司に『心を読まれたのか⁉︎』という顔をしが、
「わかったよ。そうする」
真司の顔を見上げた。


真司はマンションの大家と話をし、その月いっぱいで契約解除となった。

もともと真司は必要最低限のものしか持っておらず、しかも今回の水漏れでほとんどのものが使えなくなっていた為、蓮の家に運ぶ真司のものは衣服以外殆どなかった。

「真司、この後一緒に住むのに必要なもの買いに行こう」
一緒に昼食の片付けをしながら、蓮は真司を買い物に誘う。
「だって色々揃えないと。服とか…」
「もうあるよ」
「真司の食器とかお箸とか」
「今あるのでいいよ」
「でも…」
蓮は必要そうなものを頭の中で賢明に探す。
「あ、あれは買いに行かないと」
真司は買いに行かないといけなものを思い出た。
「え⁉︎なに⁉︎」
「寝具」
「どうして?」
不思議そうに蓮が聞き返す。
「蓮のベット大きいけど、ずっと俺と一緒に寝たら寝にくいだろ?」
真司は、さも当たり前のように答える。
「寝具は買わない」
「どうして?」
今度は真司が聞き返す。
「真司と…寝たいから」
蓮が拗ねる。

か、可愛すぎる‼︎
その表情はは反則だ!

「じゃあ、買わない‼︎」
真司はキッパリと言い切った。

もうすでに蓮のペースだ。

蓮の少し拗ね気味の顔も、可愛すぎる。
可愛すぎる蓮をこれから毎日見れるのは、嬉しいけど、俺の心臓がもたなさそうだな。

真司は嬉しい悩みを噛みしめていた。




結局その日は、買い物に出たそうだった蓮のため、真司は蓮と買い物に出掛けた。
真司も蓮と一緒に出かけるのは楽しいが、自分と蓮の差がありすぎて、周りからはどんな感じで見られているか、まだ気にしていた。

買い物のはじめに、『余計なものは買わない』と二人で決めていたが、買い物が終わってみると結局、蓮が欲しがったもの全部買っていた。



「真司の荷物置けるように、クローゼット開けておいたから」
「ありがとう」
真司は綺麗に空になっているクローゼットの中に自分の荷物を入れていく。
「それから…はい、鍵。もう真司の家の鍵になったな」
蓮はしみじみ鍵を見つめてから真司に手渡した。
「本当だな。俺、初めて蓮に合鍵もらった時、これが二人共通の鍵になったらな…って思ってたんだ」
手渡された鍵を真司も見つめた。
「真司、そんなこと思ってたんだ」
嬉しそうに蓮が笑う。
「蓮は思ってた?」
「ずっと思ってた。真司が初めて俺の家に来てくれた時から…」
「そんな時から⁉︎もし俺が変な奴だったらどうするつもりだったんだよ」
真司が笑う。
「真司はそんな奴じゃないって知ってたから大丈夫」
「え?」
「多分俺は、真司が俺に気がつくより前から、真司のこと知ってるからな」
「⁉︎どう言う事?」
「秘密。また教えてやるよ」
そう言い残して、蓮はキッチンの片付けに向かった。
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