俺のスパダリはギャップがすごい 〜いつも爽やかスパダリが豹変すると… 〜

葉月

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第四章

蓮の気持ち ①

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タクシーに乗り込んだ真司は気持ちの整理をするため、しばらくその辺りをただ走ってもらい、蓮のマンションに帰ってきたのは、日をまたいでいた。

「ただいま」
鍵を開けて入ると、部屋の中は真っ暗だった。

蓮、もう寝たのかな?

蓮は部屋に帰ると連絡をくれると言っていたが、真司の携帯にはそのメッセージはない。

もしかして、まだ仕事?

心配になって真司は蓮に電話をかけると、寝室の方から蓮の着信音が聞こえてきた。

「蓮?いるのか?」
そっと心室のドアを開けると、暗がりの中、服も着替えずにベットに座り、顔をうなだれている蓮の姿があった。
「‼︎蓮‼︎何かあったのか⁉︎」
今まで見たことのない蓮の様子に真司は慌て、駆け寄る。
「……」
蓮からは何も返事がない。
「何かあった?」
真司は蓮と同じ視線になるように跪き、蓮の顔を覗き込む。
「……」
蓮の口は頑なに閉じられたままだった。
「蓮、どうした?教えてくれないか?」
真司は蓮の首に腕を回し、蓮を抱きしめた。
「…真司は…松野さんと飲みに行ってたんだろ?…」
蓮がぽつりぽつり話し始めた。
「ああ。さっき送ってきたところ」
「松野さんはなんて?」
蓮は真司の背中に腕を回す事なく、ただ顔をうなだれたままだった。

蓮は今朝のこと気にして…
蓮がこんなに落ち込むなら、あんな事するんじゃなかった‼︎

「ごめん、蓮。そんなつもりじゃなかったんだ…」
「そんなつもりって⁉︎⁉︎」
ガバっと勢いよく顔を上げた蓮の顔は怒りに満ち、目は泣き腫らしたように真っ赤だった。
「蓮がそんなに傷つくぐらいなら、あんな事しなきゃ良かったって…」
真司は申し訳なさすぎて、蓮の目を見返す事ができない。
「あんな事って?」
蓮の声は今まで聞いたこともないほど冷たかった。
「あいつに…松野に…俺が蓮と付き合ってるっていう事、言うんじゃなかったって…」
「それだけ?…じゃあ、なんで帰りがこんなに遅かったんだ?…まさか松野さんとなにか…」
「何かって…」
真司は一瞬で言葉が詰まった。
松野に告白されたなんて…
「やっぱり何かあったんだ…」
蓮は抱きしめている真司の腕を振り払い、部屋から出て行こうとした。
「蓮待って‼︎」
慌てて真司が蓮の腕を掴む。
「…」
振り向かない蓮の背中に向かって真司が話しかける。
「…松野に好きだって告白された…」
「…」
蓮は微動だにしない。
「ごめんって断ってきた…それだけ…」
「それだけだったら、なんでこんなに時間がかかるんだよ…」
「…」
「俺、言われたんだ…松野さんに…真司のこと好きだって…諦めないって…」
蓮の声がだんだん震えてきた。
「本当にそれだけで何もなかったんだ‼︎ただ、気持ちの整理がつかなくて、その辺をタクシーで走ってもらってた…ごめん…」
「そんな事信じられるわけないよ」
「ごめん…」
「連絡ぐらいくれたって…」
蓮は涙声になってくる。
「…ごめん…」
「真司はごめんごめんって…俺ばっかり真司のこと好きみたいじゃないか‼︎」
涙をポロポロ流しながら、蓮が声を荒げる。

蓮がそんな事を考えてたなんて…

真司は蓮を引き寄せ今までないほどの力で蓮を抱きしめた。
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