30 / 217
第四章
蓮と松野の出会い ①
しおりを挟む
急いで買い物を済ませると、蓮から預かった合鍵で真司は部屋に入った。
合鍵。
その響きが嬉しくて、真司はしばらく合鍵を見つめていた。
この合鍵が、二人共通の鍵になったらな…
どちらか早く帰った方が、料理をして待つ。
そして、二人でご飯を食べる…
そんな生活ができたらな…
そんな事を考えると幸せな気持ちになるが、
反面、まだ周囲に蓮との関係を話せていない自分の不甲斐なさが嫌になっていた。
カレーを作り終えた真司は、資格の勉強をしつつ蓮の帰りを待った。
時計の針が10時を回った頃、玄関のドアが開いた。
急いで真司は蓮を出迎えにいく。
「蓮、おかえり。こんな時間まで大変だったね」
「ただいま。真司が出迎えてくれるって、本当に嬉しい」
玄関先で真司は蓮に抱きしめられ、赤面する。
「あれ?真司、いい匂いがするんだけど…」
真司の肩に顔を埋めていた蓮が、部屋のなかを見回した。
「今日、俺の方が先に仕事終わったから、カレー作っておいた」
「え⁉︎つくってくれてたの⁉︎」
「ルーは市販のだから、味は大丈夫だと思うけど…」
「ありがとう‼︎早速いただくよ‼︎」
「温めておくから、一緒に食べよ」
「え⁉︎真司、今10時すぎだよ…先に食べててくれてたら…」
「俺が一緒に食べたかったから待ってただけ。ほら蓮。用意してきて」
「ありがとう真司。でも、無理だけはしないでね」
蓮は真司の額に優しくキスをすると、家の中に入って行った。
真司は水漏れしているマンションの事情と蓮の仕事の邪魔にならないようにする事を蓮に話すと、蓮は快く工事が終わるまで泊まっていけばいいといってくれた。
食事とお風呂が終わった二人は、真司が後ろから蓮を抱きしめるようにしながら眠った。
最近、不眠気味だった真司だったが、蓮の甘い香りですぐに眠りについたのだった。
…ん?…
真夜中、真司は蓮がゴソゴソと起き、部屋から出て行ったのに気がついた。
時計を見ると、午前2時。
蓮…どうしたんだろう?
真司は蓮の後を寝室のドアから頭だけだし、蓮の様子を見ていると、蓮はいつも仕事をする時に使う書斎へ入っていった。
不思議に思った真司は蓮に気づかれないよう、そっと書斎のドアの隙間から中の様子を見ると、眼鏡をかけた蓮がPCを開き仕事の続きをしているようだった。
時折、蓮は眼鏡を外し目頭を押さえたり、何か考え事をし、またPCに向かう…
集中しているからか、真司に見られていることは全く気づかないようだった。
真司は蓮の仕事の邪魔をしないように、そっとドアを閉め自分は寝室に戻りベットに横になっていたが、なかなか寝付けない。
結局は寝たフリはしていたが、蓮が寝室に戻ってくるまで、真司は寝られなかった。
合鍵。
その響きが嬉しくて、真司はしばらく合鍵を見つめていた。
この合鍵が、二人共通の鍵になったらな…
どちらか早く帰った方が、料理をして待つ。
そして、二人でご飯を食べる…
そんな生活ができたらな…
そんな事を考えると幸せな気持ちになるが、
反面、まだ周囲に蓮との関係を話せていない自分の不甲斐なさが嫌になっていた。
カレーを作り終えた真司は、資格の勉強をしつつ蓮の帰りを待った。
時計の針が10時を回った頃、玄関のドアが開いた。
急いで真司は蓮を出迎えにいく。
「蓮、おかえり。こんな時間まで大変だったね」
「ただいま。真司が出迎えてくれるって、本当に嬉しい」
玄関先で真司は蓮に抱きしめられ、赤面する。
「あれ?真司、いい匂いがするんだけど…」
真司の肩に顔を埋めていた蓮が、部屋のなかを見回した。
「今日、俺の方が先に仕事終わったから、カレー作っておいた」
「え⁉︎つくってくれてたの⁉︎」
「ルーは市販のだから、味は大丈夫だと思うけど…」
「ありがとう‼︎早速いただくよ‼︎」
「温めておくから、一緒に食べよ」
「え⁉︎真司、今10時すぎだよ…先に食べててくれてたら…」
「俺が一緒に食べたかったから待ってただけ。ほら蓮。用意してきて」
「ありがとう真司。でも、無理だけはしないでね」
蓮は真司の額に優しくキスをすると、家の中に入って行った。
真司は水漏れしているマンションの事情と蓮の仕事の邪魔にならないようにする事を蓮に話すと、蓮は快く工事が終わるまで泊まっていけばいいといってくれた。
食事とお風呂が終わった二人は、真司が後ろから蓮を抱きしめるようにしながら眠った。
最近、不眠気味だった真司だったが、蓮の甘い香りですぐに眠りについたのだった。
…ん?…
真夜中、真司は蓮がゴソゴソと起き、部屋から出て行ったのに気がついた。
時計を見ると、午前2時。
蓮…どうしたんだろう?
真司は蓮の後を寝室のドアから頭だけだし、蓮の様子を見ていると、蓮はいつも仕事をする時に使う書斎へ入っていった。
不思議に思った真司は蓮に気づかれないよう、そっと書斎のドアの隙間から中の様子を見ると、眼鏡をかけた蓮がPCを開き仕事の続きをしているようだった。
時折、蓮は眼鏡を外し目頭を押さえたり、何か考え事をし、またPCに向かう…
集中しているからか、真司に見られていることは全く気づかないようだった。
真司は蓮の仕事の邪魔をしないように、そっとドアを閉め自分は寝室に戻りベットに横になっていたが、なかなか寝付けない。
結局は寝たフリはしていたが、蓮が寝室に戻ってくるまで、真司は寝られなかった。
10
お気に入りに追加
502
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。


いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
オメガ修道院〜破戒の繁殖城〜
トマトふぁ之助
BL
某国の最北端に位置する陸の孤島、エゼキエラ修道院。
そこは迫害を受けやすいオメガ性を持つ修道士を保護するための施設であった。修道士たちは互いに助け合いながら厳しい冬越えを行っていたが、ある夜の訪問者によってその平穏な生活は終焉を迎える。
聖なる家で嬲られる哀れな修道士たち。アルファ性の兵士のみで構成された王家の私設部隊が逃げ場のない極寒の城を蹂躙し尽くしていく。その裏に棲まうものの正体とは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる