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健の実家 ⑥

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 健の場所を譲ってもらった斗真は大喜びで優斗の隣に座り、保育園であったことや、家で飼っている犬の話などたくさん話り、自宅から持ってきたお気に入りの車のおもちゃを優斗に貸してあげたりと、優斗べったりになった。

「優斗お兄ちゃん、お外で遊ぶの好き?」
「うん、好きだよ」
 優斗がそう答えると斗真はソファーから降り、持ってきた自分のリュックを優斗のところまで持って来ると、
「じゃあね、近くに公園があるから、一緒に遊ぼ!ボールもスコップも持ってきたよ」
 中から、小さなボールと砂場遊び用のバケツとスコップを取り出し、優斗の手をグイグイ引っ張る。

公園なんて、本当に久々!
俺は行きたいけど、よし乃さんや聡希さんはどう思うかな?

 チラッと優斗は2人の方を見る。
「斗真、そんな無理矢理なお願いダメでしょ。公園は後でママとパパとで行こうね」
 よし乃が斗真に言うと、
「いや!優斗お兄ちゃんとが一緒がいい!」
 斗真は優斗の腕を掴んだ。
「斗真、わがまま言わないの」
「いや!優斗お兄ちゃんとがいい!」
 みるみる斗真は泣きそうになる。

そんなに俺と行きたがってくれてるなんて、なんだか嬉しい。

「あの、俺でよければ、斗真くんと一緒に公園行きたいです」
「本当に!?」
 斗真の顔がぱぁ~と明るくなる。
「ママ、僕、優斗お兄ちゃんと公園に行ってもいい?」
「でも…」
「あそこは俺も小さい頃よく遊んだ公園だし、優斗が行くなら、俺も行くよ。斗真、俺も一緒に行っていいだろ?」
 健が斗真を抱き上げる。
「うん!いいよ」
 斗真はますます嬉しそうだ。
「ねぇ、ママいいでしょ?」
「…優斗くん、本当に迷惑じゃない?」
「もちろんです!」
 4歳の子供と出掛けるのは怪我をさせないように気をつけないといけないし、気が抜けない。
「姉さん。俺も行くから大丈夫。斗真、約束守れるよな」
「うん!お約束守る!」
 元気に斗真が答えると、困った顔をしていたよし乃の表情が緩み、斗真と目線をあわせた。
「斗真、道路ではちゃんと手を繋いで歩ける?」
「うん!」
「勝手に走っていかない?」
「うん!」
「優斗お兄ちゃんと健お兄ちゃんのお話、きちんと聞ける?」
「うん!」
「イヤイヤ言わない?」
「うん!絶対に言わないよ!」
 力強く斗真が頷く。
「それじゃあ…、優斗くん、斗真をお願いしてもいい?」
「はい!」
 申し訳なさそうにするよし乃に、優斗も元気に答えた。
「それじゃあ、よろしくお願いします」 
「はい!」
 優斗達はよし乃に見送られながら、公園に向け出発した。
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