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すれ違い ① 〜健side〜
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今日は優斗の仕事が休みの日。健の仕事も少しメドがつき、今日は早く帰れそうだった。
なのにどうして!一度はOKが出ていた提案に、メンズ部門のメーカー1社から、やり直しの書類が返ってきた。
鈴木の奴『これでいける』昨日言ってただろ?
なのに上司に報告して『しっくりこない』って言われたぐらいで、『ですよね~』って引き返して来んなって。
粘れよ!
どれだけ時間かけてると、思ってんだよ。
今日は、せっかく優斗とゆっくりできると思って、優斗が好きなケーキも買ったところだったのに、どうしてくれるんだ!
健は買ったばかりのケーキが入った箱を見た。
今日はどうしても早く帰りたくて、出勤時間より早く出社し、昼休憩も取らず、ずっと仕事をし続け必死の思いでなんとか終わらせ、優斗の好きなケーキ屋に寄り、チョコレートケーキとショートケーキとプリンを買った時に、案の練り直しのメールが届いた。
メールを見なかったことにしようかと思ったが、その後ずっと電話がかかってきそうで、無視するのはやめておいた。
ズーンと落ち込みながら優斗にメッセージを送ると、
ー今日の晩御飯はどうする?家で食べる?ー
と返信があった。
はぁ~、優斗の待つ家に帰りた…。
でも今日帰ったら、他のメンバーに迷惑がかかる…。
せめて優斗の声だけでも聞きたい。
そう思い優斗に電話をかけた。
すると数回の呼び出し音で、
『もしもし』
と、優斗の声がした。
それだけで、健の中のイライラが和らいでいく。
「あ、もしもし優斗、今電話大丈夫?」
そう言っただけなのに、
『うん大丈夫!』
嬉しそうな声。
あ~、帰りたい!
やすやすとやり直しを持って帰ってきた鈴木!絶対に許さん!
「今日は早く帰るって言ってたのに、また帰りが遅くなってごめんな。夕食の件だけど、外で食べてくるよ」
数日前から、この日を楽しみにしていた優斗の顔が浮かび、申し訳なさでいっぱいだ。
『…。そっか…』
先ほどまでの楽しそうな声が一変、悲しそうになる。
『健、あんまり無理しないでね』
電話越しに、みるみる悲しそうな表情になっていく優斗の顔が浮かぶ。
最近、優斗にこんな顔させてばかりだ…。
それに俺も優斗と一緒にいたい。
「ありがとう。あ~、優斗不足で倒れそう。今日のミーティングは出ないって、有馬に言おうかな?」
心の声が口から出てしまった。
『え…?……。有馬さんも…一緒…?』
優斗の声が緊張する。
?どうしたんだろう?
「ああ、一緒だよ」
健がそう答える。
『有馬さんってリーダーだったの?』
そういえば優斗に行ったなかったな。
「最近昇格したみたいだな」
健は呑気そうに話す。
「有馬が働いてるブランドの本社が百貨店《店》の近くにあるから、よく会議室借りてるんだよ」
そこを使わせてもらえるから、作業場の確保に時間がかからなくて助かる。
『2人…だけで…?』
「集まれるメンバーだけで集まるから、2人だけって時もあるな」
『!!!!!!』
一瞬、優斗が息をのんだ気配がし、
『今日は…2人っきり…?』
声が強張る。
「いや、今日は仕事が終わったメンバーから集まる予定」
『そっか…』
優斗がとても悲しそうに話すので、優斗を今すぐ抱きしめたくなった。
「ごめんな優斗、この埋め合わせは絶対にするから」
『絶対だからね!じゃあ無理しないでね』
「ああ、ありがとう」
そういうと健は電話を切り、
「ごめん、優斗…」
と呟いた。
なのにどうして!一度はOKが出ていた提案に、メンズ部門のメーカー1社から、やり直しの書類が返ってきた。
鈴木の奴『これでいける』昨日言ってただろ?
なのに上司に報告して『しっくりこない』って言われたぐらいで、『ですよね~』って引き返して来んなって。
粘れよ!
どれだけ時間かけてると、思ってんだよ。
今日は、せっかく優斗とゆっくりできると思って、優斗が好きなケーキも買ったところだったのに、どうしてくれるんだ!
健は買ったばかりのケーキが入った箱を見た。
今日はどうしても早く帰りたくて、出勤時間より早く出社し、昼休憩も取らず、ずっと仕事をし続け必死の思いでなんとか終わらせ、優斗の好きなケーキ屋に寄り、チョコレートケーキとショートケーキとプリンを買った時に、案の練り直しのメールが届いた。
メールを見なかったことにしようかと思ったが、その後ずっと電話がかかってきそうで、無視するのはやめておいた。
ズーンと落ち込みながら優斗にメッセージを送ると、
ー今日の晩御飯はどうする?家で食べる?ー
と返信があった。
はぁ~、優斗の待つ家に帰りた…。
でも今日帰ったら、他のメンバーに迷惑がかかる…。
せめて優斗の声だけでも聞きたい。
そう思い優斗に電話をかけた。
すると数回の呼び出し音で、
『もしもし』
と、優斗の声がした。
それだけで、健の中のイライラが和らいでいく。
「あ、もしもし優斗、今電話大丈夫?」
そう言っただけなのに、
『うん大丈夫!』
嬉しそうな声。
あ~、帰りたい!
やすやすとやり直しを持って帰ってきた鈴木!絶対に許さん!
「今日は早く帰るって言ってたのに、また帰りが遅くなってごめんな。夕食の件だけど、外で食べてくるよ」
数日前から、この日を楽しみにしていた優斗の顔が浮かび、申し訳なさでいっぱいだ。
『…。そっか…』
先ほどまでの楽しそうな声が一変、悲しそうになる。
『健、あんまり無理しないでね』
電話越しに、みるみる悲しそうな表情になっていく優斗の顔が浮かぶ。
最近、優斗にこんな顔させてばかりだ…。
それに俺も優斗と一緒にいたい。
「ありがとう。あ~、優斗不足で倒れそう。今日のミーティングは出ないって、有馬に言おうかな?」
心の声が口から出てしまった。
『え…?……。有馬さんも…一緒…?』
優斗の声が緊張する。
?どうしたんだろう?
「ああ、一緒だよ」
健がそう答える。
『有馬さんってリーダーだったの?』
そういえば優斗に行ったなかったな。
「最近昇格したみたいだな」
健は呑気そうに話す。
「有馬が働いてるブランドの本社が百貨店《店》の近くにあるから、よく会議室借りてるんだよ」
そこを使わせてもらえるから、作業場の確保に時間がかからなくて助かる。
『2人…だけで…?』
「集まれるメンバーだけで集まるから、2人だけって時もあるな」
『!!!!!!』
一瞬、優斗が息をのんだ気配がし、
『今日は…2人っきり…?』
声が強張る。
「いや、今日は仕事が終わったメンバーから集まる予定」
『そっか…』
優斗がとても悲しそうに話すので、優斗を今すぐ抱きしめたくなった。
「ごめんな優斗、この埋め合わせは絶対にするから」
『絶対だからね!じゃあ無理しないでね』
「ああ、ありがとう」
そういうと健は電話を切り、
「ごめん、優斗…」
と呟いた。
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