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リーダー研修 ⑧
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どこから話そう…。
「えっと…、最近恋人の仕事が忙しくなって、2人の時間が取れなくなってきてるって言うか…」
「うん」
「俺としては、仕事、頑張ってるの応援したいんだよ。でも、心のどこかで『2人の時間も欲しい…』って思ってしまうんだ」
「うん」
「本当は俺が一番応援してあげないとダメって、わかってるのに…」
優斗は俯いた。
言葉に出してしまうと、自分がちっぽけで自分勝手な考えだと気付かされてしまう。
同じ職場、同じ家に住んでいて、別々に住んでいた時より、一緒にいる時間は確実に長くなったし、眠るベッドも同じ。だが別々に暮らしていた時よりも、一緒に過ごす時間は減ってきているように感じていた。
「それで、他にも何かあるんだろ?」
俯いている優斗の顔を覗き込む。
「え?」
「何か他にも心配事があるから、2人の時間をもって、その心配事を埋めていきたんじゃないのか?」
卓に見つめられると、気持ちを見透かされているような気がする。
「それに、優斗の恋人って男だろ?」
「え!?」
卓の言葉に、危うく持っていた烏龍茶をこぼしそうになった。
「え…?な…、なんで…?」
なんで…?
なんでそう思うの…?
どこでわかった?
俺、ちゃんと『恋人』って言って、性別わからないようにしてたのに…。
でもそれが、かえっておかしかった?
『彼女』って言えばよかった?
でも彼女じゃないし…。
健は健で、彼氏で恋人だよ…。
「しかもその彼氏は、長野チーフなんだろ?」
「!!!!!どうして…それを…?」
健が恋人だと当てられ、うまく誤魔化るか考える間がなかった。
「やっぱり…」
「やっぱりって…確信はなかったの?」
「薄々は感じてたけど確信はな。でもこの前の飲み会の時、チーフの牽制が凄かったからな~。あれはバレる」
飲み会での健の様子を思い出してか、卓がアハハと笑う。
どうしよう…。
バレてる。
同性で同じ職場で付き合ってるとか知られたら、違う店舗にさせられてしまう。
俯いている優斗の顔は真っ青だ。
「誰にも言わない。だからそんなに心配するなって」
「本当に?」
ゆっくりと優斗は顔を上げる。
「言わない。ってか、そんなこと言いふらす奴いたら、俺が許さない。だから安心しな」
「卓は優しいね」
不安そうな表情だった優斗は、安心したようふわっと微笑んだ。
「えっと…、最近恋人の仕事が忙しくなって、2人の時間が取れなくなってきてるって言うか…」
「うん」
「俺としては、仕事、頑張ってるの応援したいんだよ。でも、心のどこかで『2人の時間も欲しい…』って思ってしまうんだ」
「うん」
「本当は俺が一番応援してあげないとダメって、わかってるのに…」
優斗は俯いた。
言葉に出してしまうと、自分がちっぽけで自分勝手な考えだと気付かされてしまう。
同じ職場、同じ家に住んでいて、別々に住んでいた時より、一緒にいる時間は確実に長くなったし、眠るベッドも同じ。だが別々に暮らしていた時よりも、一緒に過ごす時間は減ってきているように感じていた。
「それで、他にも何かあるんだろ?」
俯いている優斗の顔を覗き込む。
「え?」
「何か他にも心配事があるから、2人の時間をもって、その心配事を埋めていきたんじゃないのか?」
卓に見つめられると、気持ちを見透かされているような気がする。
「それに、優斗の恋人って男だろ?」
「え!?」
卓の言葉に、危うく持っていた烏龍茶をこぼしそうになった。
「え…?な…、なんで…?」
なんで…?
なんでそう思うの…?
どこでわかった?
俺、ちゃんと『恋人』って言って、性別わからないようにしてたのに…。
でもそれが、かえっておかしかった?
『彼女』って言えばよかった?
でも彼女じゃないし…。
健は健で、彼氏で恋人だよ…。
「しかもその彼氏は、長野チーフなんだろ?」
「!!!!!どうして…それを…?」
健が恋人だと当てられ、うまく誤魔化るか考える間がなかった。
「やっぱり…」
「やっぱりって…確信はなかったの?」
「薄々は感じてたけど確信はな。でもこの前の飲み会の時、チーフの牽制が凄かったからな~。あれはバレる」
飲み会での健の様子を思い出してか、卓がアハハと笑う。
どうしよう…。
バレてる。
同性で同じ職場で付き合ってるとか知られたら、違う店舗にさせられてしまう。
俯いている優斗の顔は真っ青だ。
「誰にも言わない。だからそんなに心配するなって」
「本当に?」
ゆっくりと優斗は顔を上げる。
「言わない。ってか、そんなこと言いふらす奴いたら、俺が許さない。だから安心しな」
「卓は優しいね」
不安そうな表情だった優斗は、安心したようふわっと微笑んだ。
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