愛され南田くんは、寂しがり屋の甘えたです 〜無自覚甘えたが止まりません〜

葉月

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仲直り ④

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優斗が健の部屋に帰ると、もうすでに帰宅していた健が、夕食の準備をしていた。
 お詫びの印なのか、今日のメイン料理は優斗の大好きな『マカロニグラタン』
 手間がかかるので、まだ料理の勉強を始めたばかりの健には、このメニューは少し難しかったかもしれない。
 コンロには底が焦げたお鍋が置いてあったり、オーブンで焼きすぎたのだろう、グラタンの表面がこんがりを通り越して、ところどころ黒く焦げている。
 パクリと一口食べると、牛乳が多かったのか?味が薄い…。『おいしい!!』と飛び上がるほどの出来ではなかったが、優斗を喜ばせようと頑張ってくれた健の気持ちが嬉しかった。

「健、美味しかったよ。ありがとう」
 食洗機に皿を入れっている健の背中に、優斗が飛びつく。
「そうか?味、薄くなかったか?」
 自分が想像していた味と違っていたのか、健はグラタンの出来に満足してないようだ。
「そんなことないよ、美味しかった。また作ってくれる?」
「いいよ、次はもっと美味しいのにするから」
 健はやる気満々。今日のリベンジで、明日にでもまたグラタンを作りそうな勢いだ。
「楽しみにしてる」
 優斗はぎゅっと健を抱きしめた。
「あともうちょっとで片付くから、優斗はソファーで待ってて」
 抱きついている優斗の頭を撫でると、優斗はより力を入れて健にしがみつく。
「待っててくれたら、コーヒー淹れて行くから…な」

くっついたら離れたくないな。

 優斗は無言のまま、またより力を入れて健にしがみつく。
「今日はコーヒーと一緒に、マカロンもあるんだけどな~」
 ちらりと健が優斗の方を見ると、
「本当に!?」
 キラキラとした瞳で、優斗は健を見上げている。
「しかも、優斗が好きな店のマカロン」
「本当に!?」
「だから少し向こうで待てる?」
 もう一度健が優斗の頭を撫でると、
「待てる!」
 さっきまで駄々をこねていた人とは思えないほど素直にソファーに向かうと、優斗はコーヒーとマカロンが運ばれてくるのを待った。
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