愛され南田くんは、寂しがり屋の甘えたです 〜無自覚甘えたが止まりません〜

飲み会 ④

「ねぇ、本当に同期だから仲がいいだけ？私にはそれ以上に思えるんだけど」
「だといいんですけど…」
「！？それってどういう意味！？」
　綾が身を乗り出して、卓の言葉の意味を問いただそうとした時、
「なんだか楽しそうだね」
　健が遅れてやって来た。
「チーフお疲れ様です」
　隣の席が空いている綾が、健の座る場所を作るために奥に詰める。席順と酔った優斗の姿を見た時、健は一瞬卓に鋭い視線を向けたが、すぐにいつもの笑顔に戻った。
「それがですね、河野くんと南田くん、とっても仲が良くて。あれは同期だから仲がいいってだけじゃないと思うんです」
　今までの一部始終を綾が話すのを、何も言わず健は聞いた。
「なるほど。それは仲が良さそうだね。同期ってだけで仲良くなるから、羨ましいよ」
　健は微笑みながら言うが、目は笑っていない。
「そうですね。同期だからこそ話せることとかありますし、そこから親密になることもありますしね」
　卓も微笑みながら言うが、目が笑っていない。
　2人の間にピリっとした空気が流れた。
「……。えーっと…、私何かいけないことでも…言ってしまったんでしょうか…？」
　冷たい空気を察知した綾が、2人の顔を交互に見た。
「そんなことないよ」
　健は綾に微笑みかけ、
「私は生を頼もうかな？南田くんは酔ってそうだから、烏龍茶でも頼んでおいた方が良さそうだね」
　と、ドリンクを頼んだ。