愛され南田くんは、寂しがり屋の甘えたです 〜無自覚甘えたが止まりません〜

葉月

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同棲生活 ③

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「おはようございます」
「南田くん、おはよ。今日も元気だね」
 店頭に行くと、商品を陳列していた先輩の綾に、元気よく挨拶をする。いつも華やかな店内。美しくなりたいと思う人たちの願いを叶える場所。それはどの階も、どの店舗も同じだ。笑顔が絶えない店にするためには、店で働くスタッフが笑顔でなければならない。それは優斗もいつも気にかけていることだが、今日の優斗はその笑顔をおさえなといけないほどで…。


「何かいいことありました?」
 溢れんばかりの笑顔で接客をし終えた優斗に、卓が話しかける。
「はい。今帰られた客様、おすすめした商品をすごく気に入ってくださって、全部買ってくださったんです」
 先ほどまでお客にカウンセリングをしていた優斗は、カウンターに並べられている化粧品を手際よく片付け、顧客名簿に今日の出来事を記入する。
 今日は全てがうまくいっていた。優斗が接客しや客全の殆どが、最低1つは購入して帰っていた。しかも、みんな笑顔で。
「本当だ。今日の売り上げすごいですね」
 個人の売上伝票を見た卓が、驚いた。
「たまたまですよ。今日はラッキーでした」
照れたように優斗が笑うと、その場の空気が癒され、周りにいた人がほんわかする。
「南田くんに接客のコツを教えてもらいたいです」
 卓が言うと
「私も私も」
 と綾もその話に入ってきた。
「そんな教えられることなんてないですよ!それなら僕の方がお二人に、教えていただきたいほどです」
「え?そうなの?じゃあ3人とも退社時間が近いから、一緒にご飯食べながら話しをしようよ」 
 身を乗り出して、綾が卓と優斗に提案する。
「え!?今日ですか?」
 咄嗟にそう言ってしまって、『しまった』と優斗は口元を押さえた。

今日は俺が晩御飯を作って約束してるから、スーパーに寄って買い物してから急いで帰ろうと思ってたのに…。

「いや…あの…、えっと…」

なんて答えたら…。

「なんだか楽しそうな話をしているね」
 優斗より遅い出勤の健が店に現れた。

「おはようございます」
 優斗と卓と綾が挨拶すると、
「おはよう」
 と仕事モードの健が微笑む。
「南田くんの今日の売り上げ凄いんです!それでご飯を食べながら、南田くんに接客のコツを教えてもらいたいなって話してたんです」
 綾が嬉しそうに話す。
「そうなんだ。南田くん、頑張ってるんだね」
 健に笑顔で褒められると、その笑顔にキュンとしてしまい、頬を赤らめる。

こんな笑顔も、俺、独り占めだよ。
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