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同棲生活 ①

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朝目覚めると、隣りで気持ちよさそうに眠る健の寝顔が目に飛び込む。いつも起きる時間より早かったが、優斗はそっとベッドを抜け出し、キッチンに向かう。
 実は昨晩、健と愛しあった後、一緒に風呂に入って湯船に浸かったが、その後の記憶がない。全くない。気がついたら、きちんとパジャマを着て、寝室のベッドで眠っていた。しかも健の隣りで。

多分、湯船に浸かったまま寝ちゃったから、その後、健が着替えてとか全部してくれて、ベッドで寝かせてくれたんだろうな。
同棲最初の夜から、迷惑かけちゃった…。

 そう反省しながらも、顔がにやけて仕方がない。

「俺、健と同棲し始めたんだ。大好きな人と一緒に暮らせるんだ。本当に幸せ~」

 語尾全てにハートマークが飛んでいそうな、大きな独り言を言いながらキッチンに入り、冷蔵庫を開ける。

同棲初めての朝は、俺が作るんだ。
それで一緒に朝ごはん食べて…。
本当は一緒に出勤したいけど、そんなことしたらどうして一緒に出勤してるのか不思議がられちゃうからできないし…。
本当の本当は健と付き合ってること、みんなに言いたいけど、同じ職場だし同性だから秘密にした方がいいよね…。

 そんなことを考えながら、コーヒーメーカーのスイッチを入れる。料理があまり得意ではない優斗が作れる朝食は、だいたい決まっている。
 トースト、ハムエッグ、野菜サラダ、即席スープにコーヒー。
 今まではそれで特に不自由はなかったが…。

健にはもっといろんな料理、作ってあげたいな。
今のままではレパートリー少なすぎて、これだとご飯すぐに飽きちゃう。
立花さんにもらったレシピ本で勉強しないと!

 気合を入れてコンロのスイッチに手をやると、
「おはよ、優斗」
 少し眠たそうな健が、優斗を後ろから抱きしめた。
「お、おはよ」
 
その気だるい感じの『おはよ』は、色っぽすぎて朝からドキドキ止まらない。

 自分の表情を隠すように、優斗はくるりと体を反転させ、健の胸に顔を押し当てた。大きく息をすると健の香りがする。
「健、いい香りする」
「優斗の方がいい香りする」
 健も優斗の髪をスンスンと吸い込んだ。

えへへ、俺、いい香りだって。
健にそう言われると、くすぐったくなる。
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