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お泊まりセット、買いに行くんだ〜。 ④

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 優斗と健が店に入ると、必ずと言っていいほど、その店の紙袋を持って店から出てくる。早い話、入った店入った店、全てで買い物をして出てきていて、その全てのお会計は健が済ませていた。
 優斗が「そんなに買ったら、カードの支払い額、大変なことになるよ…」と心配しても、「俺、稼いでますから」と全く聞く耳を持たない。だったらと「もう欲しいものない」と優斗が言えば、「お泊まりの時にこれを使う優斗の姿、見たかったんだ…」と健に言われてしまうと、優斗はその願いを叶えたくなってしまう。
 そして必然的に、健の両手は買い物袋いっぱいだ。

「健、俺も持つよ」
 お会計を済ませ店から出たとき、優斗が紙袋を持とうとすると、健はその袋を引っ込めてしまう。
「買ってもらっちゃったけど、一応、俺のお泊まりセットだから俺が持つ!」
 健から取り上げようとしたが、今度もひょいと避けられてしまい…。プーっと優斗は頬を膨らませ、拗ねた。
「拗ねんなって」
 紙袋を持ったまま、健が優斗の膨らんだ頬を突くつと、優斗はプイッと横を向いてしまった。
「だって…両手塞がってたら…、できないじゃん…」
「?できないって、なにが?」
「手…、繋げないじゃん…」
 そう言う優斗の唇は、どんどん尖っていく。
「フフッ…。優斗、手、繋ぎたかったから、子どもみたいに駄々こねてた?」
 ニヤリと健が笑うと、
「駄々こねてないよ!寂しかったの!」
 健の隙を見計らって、優斗は紙袋を取り上げ、空いた健の手を握った。

だってさっきから、すれ違う女の子、全員健のこと二度見したり、見惚れて目追ってたんだよ。
俺の恋人なのに、そんなに見られたら嫌だよ。
本当は大声で『健は俺の恋人です!』って言いたいけど言えないから、手、繋いで牽制しないとダメじゃん。

「ちょっと前まで、人前で手を繋ぐの恥ずかしがってたのに、今は繋いでも平気になったんだ」
 優斗の困った顔が見たくて、健はわざと意地悪を言う。
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