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喫茶店

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仕事からあがると、優斗は健に店から少し離れた昔ながらの静かな喫茶店に呼び出された。

店内には数人の客だけ。
挽きたてコーヒーのいい香りが漂っていて、健の前にはエスプレッソ、優斗の前にはウインナーコーヒー。
カウンターの中の店主は椅子に座り、静かに読書をしていた。


「さっきはごめん…。おとなげなかった」
健は申し訳なさそうに優斗を見た。
「さっきって?」
優斗はいつのことを言っているのか、わからず首を傾げる。
「店で山口さんと休みが変わったって言ってくれてた時、あんな態度をとって…。自分の態度の情けなさに、ため息がでたよ…」

あぁ、あの時の…

「ちょっと…様子が変だと思っていたけど、気にしてないよ」

本当はちょっと気になってたけど…
でも、こうしていつも通り健と話せただけで、嬉しい。

嬉しさから優斗は無意識に照れ笑いをし、ウインナーコーヒーを飲んだ。

「それで…、もし優斗がよかったら、その日デートしないか?2人で…出かけよう」
健がいつものように微笑んだ。
「デートしたい!朝早くから出掛けて、家でゆっくりして…それから…」
優斗はそこまで言って急に口籠った。
「それから?」
「…それから…」
優斗は一度健から視線を落とし、そして
「健の家にお泊まりしたいし…、デートの前日も健の家にお泊まりしたい…。2日連続、お泊まりして一緒にいたいっていうのは…わがまま?」
恥ずかしそうに健を見た。

もし健が『いいよ』っていってくれたら、サプライズで晩ご飯は俺が作りたいんだ。

「いいに決まってるよ」
向かいに座っていた健が優斗の方に手を伸ばすと優斗の頭を撫で、
撫でられた優斗は照れながら、嬉しそうに笑った。
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