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「エリザベート……」

 トスカーナ様は私の方を見た。2人は既に裸で愛し合っている……滑稽だった。

「もうあのお嬢さんには関係ないでしょうっ……」

 トスカーナ様はこくりと頷いた。

「さあ、もっと愛し合って……子孫を作りましょうっ!光栄なことよっ!」

 王女様は叫んだ。

「あのおっ……私の前でこれ以上近づくと……王女様。この前みたいに傷つけますよっ?」

「あなたがそんなこと出来るわけ……」

 トスカーナ様は突如、王女様を抑え込んだ。ええっ……そんなことあるの?

「ちょっと……トスカーナ殿?どうしたのよっ?」

 王女様は叫んだ。

「すみません、皇帝陛下との約束ですので……」

「お父様との約束?どういうことなのっ?」

 私にも正直分からなかった。皇帝陛下との約束……?

「エリザベート……すまなかった。やはり、私はこれから正直に生きることにするよ。君がここに来てくれて、私は決心がついたっ!」

 ということは……トスカーナ様は私との関係を戻してくださるの?

「ちょっと、トスカーナ殿!どういうことなのっ!」

 王女様が明らかに困惑している。


「いやあ、実に素晴らしい光景だなあっ!」

 知らない男の声……トスカーナ様はすぐに分かったようだった。

「こちらにいらっしゃるのが、トスカーナ君の元婚約者なのかなっ?」

 男は私の方を見た。

「さようでございます」

「そうかそうか、いやあ、私の娘が迷惑をかけたようで申し訳ないね……」

 私はなんとなく分かった。この男の正体が、皇帝陛下であることを!!!

「お父様、どういうことですかっ!」

「どういうこともない……これ以上君の出番はないのだよっ……」

 皇帝陛下自ら王女様のところに行って、王女様を殴り飛ばした。

「皇帝陛下?これは一体どういう?」

「ああ、君は何も心配しなくていいのさっ……」

 トスカーナ様は呟いた。

「この女は不良品だから……本当は王女を名乗ることもおこがましいほどなのだが……私もこの世界に産み出した責任があるから……親として私の方で処分しておくよ……」


「いやあっ、私は世界で一番悲しい人間……トスカーナ殿、私を救済してええっ!!!」

 王女様は最後まで叫んでいた。皇帝陛下に引きずられて、消えていった。
 
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