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「……ソフィア?思い悩んでどうしたんだい?」

「なあ、ソフィア!!!どうしたんだ?黙っていては分からないぞ!早く答えを教えてくれっ!!!」

 ロベルト、皇帝陛下は焦っていた。最近になって私の見出した答えが必ずしも正確でないことが頻発している。今までであれば、明確に神様のお告げを聞くことが出来た……でも、最近になって神様の答えが濁るようになって、正確に確認することが出来なくなってきたのだ。

「ひょっとして、聖女の力が落ちているのではないか?」

 皇帝陛下の懸念は間違っていなかった。そういうものなのか、把握はしていなかった。でも、明らかに神様のお告げを聞き取ることが出来ないのは事実だから、そういうものなのだ、と思った。

「そうだとしたら……君に頼る必要はないのかもしれないな……」

 皇帝陛下は溜息をついた。妹のテレサが登場してから、私への風当たりが強くなってきていたから。場合によっては私を王宮から追放することも考えるのだろう。それならそれで……仕方がないと私は思った。


「お待ちくださーい!!!」

 テレサの声が響いた。私を助けにやってきた……わけではなかった。

「実を申しますと……私もまた、神様のお告げを聞くことが出来るようになったのですっ!!!」

 神殿に姿を現さず、どうやって神様の声を聴くことが出来るのか……いささか疑問ではあった。

「本当か、テレサ…でかしたぞっ!!!」

 皇帝陛下はテレサの発言を全く疑わなかった。まあ、本当にそうだとしたら、都合がいいからね。

「ええっ、お姉様が解決出来ない問題は、私の力で解決しましょう!!!ねえ、お姉様。ひょっとして、お姉様の聖女力は段々弱まってきているんじゃないんですか?どうやら、聖女の力は分割することも出来るみたいで……私たちは仲の良い姉妹なのですから、分担しながらやりませんか?」

 この日、明確に答えられなかった国政について、テレサはペラペラと正論を語り始めた。口から出まかせ、ではなかった。皇帝陛下は拍手喝采であった。

「すごい……すごすぎるぞ!!!」

 皇帝陛下は私ではなくてテレサを信頼するようになっていった。最初はテレサと私で半分程度だった。それが、段々とテレサに傾くようになっていき……私はとうとう、神様の声を聴きとれなくなってしまった。

 こんなことって、あるだろうか?考えても仕方がない。事実なのだから。

 テレサへの称賛はどんどん高まっていき、私はいよいよ排除される運命なのだと思った。
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