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それからもしばらく彼に甘やかしてもらった。でもこれ以上はダメだと思ってなんとか抜け出した。
少し名残惜しそうにしていたけれど、何とか説得に成功した。今は二人でソファに座ってお茶をしているところである。……ちなみに今の私の格好はというと、白いワンピースを着ている。髪も綺麗に整えられていて、まるで別人のようだった。

でもそのせいで余計に緊張してしまう。なんせ結婚してから初めて会うのだから……。それにしても本当に別人の女性のようだわ……。…………。

だめよ! しっかりしなさいリリアナ!! 今日はこれからお父様とお母様に会うのよ!! いつまでもドキドキしている場合じゃないでしょう!! そうよ!頑張れ自分!! 自分を鼓舞していると、いつの間にかお兄様が隣に来ていた。……相変わらずイケメンですね。思わず見惚れてしまう。お姉様が夢中になる気持ちがよくわかるなぁ……。
私がじっと見つめていると、お兄様が話しかけてきた。
「――体調は大丈夫かい????」
 心配してくれているようなのだが、何故か目が怖い気がする。……気の所為かな? まぁいいか。それよりも返事しないとね!
「――はい!もうすっかり元気です!ご迷惑をおかけしました。」
笑顔で答えると、頭を撫でてくれた。
それが嬉しくてニコニコしながら話を聞いていると、どうやら私はこの家に帰ってくる途中、馬車の横転事故に巻き込まれたらしい。……うん?横転? それってもしかしてあの時のことかな? 確かあの時、誰かに押されて……。
そう考えると思い当たることがあった。
「――あ、そうだ。あの時はありがとうございます。助かりました。」
私はその時のことを思い出して感謝を伝えた。……うん?何か反応がおかしいぞ。
二人共黙り込んでしまったんだけど……どうしたんだろう? 不思議に思っていると、急に二人が顔を見合わせた。
そして同時に私を見て、
「――リナ……君は一体誰なんだ?????」
「――あなた一体何者?????」
真剣な表情をして聞いてきた。
……えええええええええええっ?どういうこと? 意味がわからなくて混乱していると、今度は違うことを聞かれたのだった。
「――……あの日、僕達は何をしていたんだ???????」
私はその時のことを思い出しながら説明した。
「……そういえばあの後、二人は無事なのかしら?」
 今更だけどそんなことを考えていた。
とりあえず、私のせいで怪我をした人はいなかったと思うと伝えた。すると、また沈黙してしまった。……一体何があったんだろう?
「――リナ……僕は君を愛してる。どうか僕のそばから離れないでくれ。お願いだ……」

突然そんなこと言われても困るんですけどぉぉおおっ!!! しかも今この状況で言われてしまえば尚のこと断りにくいじゃないかっ!!……私は内心焦っていた。

だってまだ心の準備が出来ていないのだもの……。それでもなんとか断ろうとしたら、突然後ろから抱きしめられた。驚いて振り向くとそこにはお兄様がいた。そして耳元で囁かれる。
「――ねぇリナ……愛しい君……ずっとこの時を待っていたんだよ……君を手に入れるためにずっと準備してきたんだ……やっと手に入れた…… 」

私はもう頭の中がチーズのようにとろけそうになった。
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