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痛みと恨み……色々な感情が渦巻いておりました。

行き交う人々はみな、哀れな視線を私に向けておりました。ブスな顔が余計大変なことになっている……自分は痛みしか分かりません。どんな顔になってしまったのか……でも、きっと酷いことになっているのでしょうね。

「見て、あの方。一体どうしちゃったのかしら???」

「どこかで見たことがあるけれど……」

「それにしても醜いですねえ……」

私が公爵令嬢マリアであることを知っている人は多くなかったはずです。元はと言えば、王家との結びつきが強い家系なのですが、そこに生まれた私は言わば突然変異……これほど醜い容姿の者はいなかったのです。

始めて皇帝陛下にお目にかかった時も、皇帝陛下は一度躊躇してしまったのです。

「あなたが……マリアさん???」

そして、困惑しました。だって、これほど醜い女が息子、しかも将来の皇帝陛下の伴侶となるわけですからね。

「皇帝陛下、申し訳ございません……」

お父様は何度も謝りました。

「いいや、謝ることではないが……」

私を受け入れることは中々容易ではなかったはず。ランゲルハンス様も要するに、全く乗り気ではなかったのです。


噂が広まることを恐れたお父様は私をなるべく社交界に出さないようにしておりました。事実上の軟禁状態ですね。ですから、貴族の中でも一目見て私をマリアだと分かる人は少数だったわけなのです。

「あれは……相当の傷物だな……」

男たちは当時、躊躇せずに悪口を言いました。基本的には私よりも身分の低い人たちだったはず。まあ、公爵令嬢がのこのこと歩いているなんて想定していなかったでしょうからね。お父様に密告すれば、息の根を止めることなんてわけもなかったはず……でもこの時はそんな余裕はありませんでした。

医務室に駆けこんで、まずは応急処置をしてもらわないと……。

「失礼しまーす!!!!」

私は大声で叫びました。でも、返答がありませんでした。

「誰かー誰かいらっしゃいませんか???」

どうして返事がないのか、私は焦りました。もう痛くて痛くて仕方なかったのです。

「ああ、騒がしいなあ……患者が来たのか???」

中から若い男が出てきました。

「あれっ……マリアじゃないか???どうしたんだ、そんな顔して……」

彼は私のことをマリアと呼びました。

「ひょっとして……私のことをご存じなのですか???」

「お前、冗談だろう。と言うか、私のことを忘れたのか???」

「忘れたって……どこかで会いましたっけ???」

「おいおい……酷くないか???昔も助けてやったじゃないか。今日みたいに泣きついてきて……」

彼は言いました。いや、本当に分からなかったんですよね。見当もつきませんでした。

「それで……その傷は自分で作ったのかい???」

「そう見えます???」

「まあ、お前だったらやりかねないな……。昔からドジだったから……」

「昔からって……」

まあ、確かにドジではありましたけどね。
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