最強の薬師、婚約破棄される〜王子様の命は私の懐の中〜

その31

「まずはいい知らせから伝えることにしよう」

「私を殺すのですか？」

「……どうしてそうなるんだ？」

「いいえ、なんとなくです」

リンプルは、もうどうでもいいという感じだった。

「アンナさんは元気ですか？」

「アンナは死んだよ」

ファンコニーがこう言うと、アンナの目の色が変わった。

「冗談でしょう！どうして死ぬんですか？」

「私が殺したんだ……」

「ファンコニー様が殺した……ですって？そんなバカな……」

リンプルは信じなかった。

「そうだろうな……。でも、本当なんだ。リンプルはもういない。つまり、君は自由になるというわけだ」


「ほお……それは良かったな。若き娘よ……」

ジャックも感心したみたいだった。

「今すぐここから出してやるさ。君の疑いは全て晴れたのだ。喜びなさい」

リンプルは、まだ信じられなかった。