愛しているのは王女でなくて幼馴染

25

　僕にとっては、メリーと結ばれるということが一番自由なのだと感じた。結局はね。

「メリー…待たせた、かな？」


　メリーは頬を膨らませていた。怒った子供のようだった。

「あなた、バカじゃないの？」

　メリーの第一声は罵倒…うん、結構ショックだった。

「どうしてそう思うんだい？」

「だって…アンナ様と婚約すれば、地位や名誉、財産がとんでもないことになったでしょう？」

　まあ、それはそうだが…もはや欲望はほとんどなかった。

「まあ、それがあなたらしいってことかしら？」

「その通り、よく分かっているじゃないか…」


「それで…これからどうするの？」

「とりあえず故郷に帰ろう！」

　僕は明るく答えた。

「まあ、そうなるわね。ああ、でもなんだか後ろから怨霊みたいなオーラを感じるんだけど…」

「まあ、僕らのせいで死んじゃった人が多いからね…色々な意味で。でも、仕方ないんじゃない？別に間違ったことをしたわけじゃない。僕はやっぱり、メリーのことが一番大切だと思っているから…それだけで十分じゃない？」

　僕がこう言うと、やはりメリーは緊張したようで何も話さなかった。

「それじゃ、怨霊さんたちが来る前に走って故郷に帰ろう！」

　僕はメリーをお姫様抱っこした。メリーは興奮して、「風が気持ちいいっ！」と叫んだ。



　若者たちの未来に幸あれ！