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それから少しして、我が城…邸宅が見える辺りまでたどり着いた。案の定、兵隊たちが城の周囲に数名いた。アンナ様の命令で僕を探している者たちだろう。まだ昼間であり直ぐには帰れない。さて、どうしたものかと考えているうちに、ある女性から声をかけられて…やはりこれは運命なのだと感じた。
「ひょっとして…帰って来たの、ロビンソン?」
間違いなく、幼馴染メリーの声だった。僕が声の方へ振り向くよりも先に、メリーが抱き着いてきた。
「やっぱり、ロビンソンだわ!」
メリーは泣いていた。僕はどんな言葉をかけていいのか分からなかった。弱弱しくもしっかりと抱きしめるメリーの背中をゆっくりとさすった。
「ごめん、心配をかけたね…」
「ええ、そうよ!どれだけ心配したと思っているの…あのまま死んじゃったかと思ったわよ!だって、王女様を守ったのはいいけど、そのまま棺に乗せられて…王宮まで運ばれてしまったのだから!」
棺、という言葉が引っかかった。メリーが上手く表現出来ないだけなのか、それとも…僕は棺に乗せられて王宮まで運ばれたのか?
「もう、ロビンソンは死んでしまったと思ったのに…こうして生きているなんて!素晴らしいわ!」
メリーがこれほど喜ぶのを見たことがなかった。まあ、こうして再会出来たのは嬉しいが…あんまり外ではしゃがれると、兵隊たちが怪しんで捕まってしまわないか、と少し不安になった。
「どうしたの?」
「いや、あまり長い間外にいると見つかってしまうかもしれないだろう?兵隊たちが僕のことを探しているんだ……」
「ああ、なるほど……」
メリーは納得したようだった。
「だから、お城に兵隊が押し寄せているのね。ねえ、何か悪いことでもしたの?」
もちろんメリーは何も知らない。知らない方がいい。とにかく、僕は王宮との関わりを今後持たずに……メリーと一緒に生きていくことにするんだ。
「メリー…君のことが大好きだ。こんな形でプロポーズするのは微妙かもしれないが……不器用だから許してくれ。僕の伴侶になってくれないか?」
「はいはい、私も大好きって……えええっ!?」
メリーは困惑、ロビンソンは本気……2人の恋物語は?
「ひょっとして…帰って来たの、ロビンソン?」
間違いなく、幼馴染メリーの声だった。僕が声の方へ振り向くよりも先に、メリーが抱き着いてきた。
「やっぱり、ロビンソンだわ!」
メリーは泣いていた。僕はどんな言葉をかけていいのか分からなかった。弱弱しくもしっかりと抱きしめるメリーの背中をゆっくりとさすった。
「ごめん、心配をかけたね…」
「ええ、そうよ!どれだけ心配したと思っているの…あのまま死んじゃったかと思ったわよ!だって、王女様を守ったのはいいけど、そのまま棺に乗せられて…王宮まで運ばれてしまったのだから!」
棺、という言葉が引っかかった。メリーが上手く表現出来ないだけなのか、それとも…僕は棺に乗せられて王宮まで運ばれたのか?
「もう、ロビンソンは死んでしまったと思ったのに…こうして生きているなんて!素晴らしいわ!」
メリーがこれほど喜ぶのを見たことがなかった。まあ、こうして再会出来たのは嬉しいが…あんまり外ではしゃがれると、兵隊たちが怪しんで捕まってしまわないか、と少し不安になった。
「どうしたの?」
「いや、あまり長い間外にいると見つかってしまうかもしれないだろう?兵隊たちが僕のことを探しているんだ……」
「ああ、なるほど……」
メリーは納得したようだった。
「だから、お城に兵隊が押し寄せているのね。ねえ、何か悪いことでもしたの?」
もちろんメリーは何も知らない。知らない方がいい。とにかく、僕は王宮との関わりを今後持たずに……メリーと一緒に生きていくことにするんだ。
「メリー…君のことが大好きだ。こんな形でプロポーズするのは微妙かもしれないが……不器用だから許してくれ。僕の伴侶になってくれないか?」
「はいはい、私も大好きって……えええっ!?」
メリーは困惑、ロビンソンは本気……2人の恋物語は?
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