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「おはようございます、マリア様。今日の朝食はいかがなさいますか?」

 メイド長のセシリアが優しく尋ねた。

「おはよう、セシリア。朝食はいつもの通りで大丈夫です」と私は微笑み返した。

 私は公爵令嬢マリア。将来の皇帝陛下となるスミス王子との婚約を控えて幸せな未来を夢見ていた。毎日、私は美しいドレスに身を包み、上品な言葉遣いを心がけて過ごしていた。

 その一方で私はメイドたちとの会話を楽しんでいた。私たちは年齢も近く、気心が知れていたのだ。

「昨日、ミリアムさんと一緒にお花見に行ってきたんですよ。桜がとても綺麗でしたよ!」とメイドの一人、エリザベットが話しかけてきた。

「へえ、それは素敵ね。私も春のお出かけが楽しみだわ」と私は笑みを浮かべて答えた。

「そうですね、お花見は本当に癒やされます。是非、マリア様と一緒に行きたいですわ」とエリザベットは嬉しそうに言った。

「ええ、私もそう思っていたところ、これから行きましょうか?」と私は返答した。

「マリア様……それは本当でございますか?」

「ええ、本当よ。なんだか、あなたたちと一緒にいると本当に楽しいからね……」私は言った。

「嬉しいですわ。是非ともお願いしますわ!」

 ああ、なんて幸せな日常……そして、これから私はもっと幸せになる。そう思わずにはいられなかった。

 私はすぐさま仕度をして、メイドたちと共に小さな旅を開始した。そして、美しい桜の木々が咲き誇る庭園で、メイドたちと一緒にお花見を楽しむこととなった。彼女たちは、お茶とお菓子を取り出し、私に差し出した。私は美しい桜の木々を見上げながら涼しさを感じていた。そして、しばらくの間メイドたちとの会話を楽しんだ。

「春は、新しい始まりの季節だね」と私は呟いた。

「そうですね、お嬢様。この季節になると、私たちも新しいことに挑戦したくなります」と、メイドの一人が答えました。

「はい、私もそう思います。この桜の木々は、新しい季節の訪れを教えてくれます。」他のメイドが答えた。

「マリア様、お茶とお菓子はいかがですか?」エリザベットが尋ねた。

「ありがとう。せっかくだからいただくわ。それにしても、あなたが作るお菓子は本当においしそうなのよ。今度作り方を教えてよ」と言った。

「喜んでいただけて嬉しいですね。そうですね、マリア様が嫁がれる前に……」

 新しい季節は別れの季節……それは、みんな同じだった。

「これから上手くやっていけるかしら……」一抹の不安を胸に秘めて、私はメイドたちの顔を眺めた。

「お嬢様ならきっと大丈夫ですよ!」概ね、みんな同じ顔でそう言ってくれているようだった。

 楽しい散歩は日の入りと共に終焉を迎えた。そして、私の帰りを玄関で待っていたのは妹のエリザベートだった。

「お姉様、お帰りなさいませ!」

 元気よく迎え入れてくれた。

「ただいま、遅くなってごめんね」

「いいえ、私は大丈夫ですよ!」

 和やかな姉妹のやり取り……傍から見れば、誰もが羨む光景だっただろう。実際、私はエリザベートのことを大切に思っていたし、エリザベートは私を姉として尊重していたはずなのだから。
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