気まぐれな婚約者に振り回されるのはいやなので、もう終わりにしませんか

岡暁舟

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「お客さん……ひょっとして、こういった類の店は初めてですか???」

私は質問してみた。まあ、私も正直始めての部類に入るわけだ。

「ええ、まあそうですねえ……」

管理人のような男がこういった店にやって来るのには、何か重要な理由があると思う。そして、その予想は的中することになった。

まずい、と私は思った。新しい来客は顔見知りだった。

「これはこれは……ピーター行政官……ああ、あなたのようなお人もいらっしゃるんですね。真面目だけが取り柄のあなたも……人間って見かけによらず、分からないものだ……」

そう、誰も真実なんてわからない。そんなものなんだ。

「ピーター行政官。折り入って話がございますゆえ……ああ、酒を持ってきてくれ!!!」

私を使うこの男は……とある男爵の一人息子だった。一度告白されたことがあったのだが、とにかく女たらしと有名であり、私は断った。もちろん、恐喝されたこともあった。

「あなたのように身分高き御令嬢が……私を蔑ろにするとは……悪い噂がたっても知りませんよ……」

でも、その後彼は島流しになった。誰か知らないが、きっと害虫駆除業者であるお父様の差し金だったはず。まあ、それっきりだった……彼は私のことを憶えていないはず。でも、私はなんとなく覚えているのだ。
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