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「思い返せば、私がエリスと婚約するのは不思議な流れだった……」

思い返すたびにそれは非常に滑稽なこと……ボリス様の考えは揺らいでいた。

「ボリス様!!!」

エリスが何度も駆け寄ってくる。

「ああ、今日も君を抱く気分にはなれないから……」

ボリス様の答えは決まっていた。

「ああ、そうですか。ねえ、私をバカにしてもね、結局は何も変わらないんですよ???」

「もういい。議論は終わりにしよう。君の言うとおり、いつかは君を抱かないといけないことになるからな。そうじゃないと、世継ぎが生まれないから……」


************************************************


「あの人と上手くいっていない???」

「ええ、そうなのよ……」

「なんだ、せっかくナターシャと離れることができたって言うのに……あなたでもダメなのか……」

「ちょっと……私がダメって決まったわけじゃないでしょう……」

「決まったようなものでしょう。あなた、何か思い当たることはないのかしら???」

「思い当たることって言われても……そんなことは……」

「まあ、いいわ。彼も非常にプライドが高いんでしょうから……」

「プライド……そんなものかしらねえ……」

「そんなものでしょう……」

「つまらないわねえ……」

「つまらない……まあ、そんなものかしらねえ……」


**************************************************


「ところで……私にいくら払ってくれるのかしら???」

「払うって……お金のこと???」

「それ以外に何かあるのかしら???」

「まあ、分からないけど……」

「親友を裏切った代償……それを私だけが背負うとしたら、神様はあなたたちを見捨てることになるわよ」

「親友って、あなたとナターシャは最初から親友なの???」

「あなたにとって、私たちが親友かどうかなんて大した問題じゃないでしょう。赤の他人が見れば、私たちは絶対に親友なのよ」

「あなたって……本当にずるがしこい人……」

「ずるがしこい……あなたには敵わないわよ。自分の目的を実行するのはいいことだけど、たくさんの人間を巻き込んだ茶番劇を展開して……」

「まあ、とりあえずここまでにしておきましょう。とりあえず……一年分くらいで足りるかしら???」

「あらあら、流石は太っ腹ね。お父様に頼む必要はないか……」

「それは……どういうことかしら???」

「いやね、私と同じく、あなたも借金まみれの人生を歩んできたでしょう。お父様は大変だなって思って……。ああ、私の両親は既に死んでいるから関係ないけどね」

2人の関係が色々な意味でますます深まっていくのを私は知らなかった。知らないままの方がよかったのかもしれない。
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