第一王子と見捨てられた公爵令嬢

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「いやあ、実を言うと、私は少し反省しているのですよ……」

皇帝陛下はこう言い出した。

「反省とおっしゃいますと？？？」

「ええ、私はあなたのことを誤解していたようだから……」

「誤解ですって？？？」

「ええ、なんとなくね。だから、時にはあなたのことを責めるようなことにもなってしまった。実際に問題があったのはどうやらザイツの方だったと……後々考えてみればわかった話なのですがね……」

ザイツ様の方が悪い……そういう問題ではないのだ。悪いのは全て私……新しい環境に適応できないこの私に問題があると言ってくれれば、これほど楽なことはないのだ。

だから、皇帝陛下が私に対して謝る必要はないし、私は皇帝陛下に同情する必要もない。

「なかなかおいしいじゃないですか……」

皇帝陛下はもう、私たちの作戦に飲み込まれてしまった。もう彼を救うことはできないはず。だから……ここまで来てしまったら、私はもう悪役として通すしかないのだ。結果として、これから私は皇帝陛下を抹殺することになるのだから。もちろん、皇帝陛下はまだ気づいてないはずだが……。

「さあ……どうするかな。ザイツはザイツなりの考え方があるんだろうが……確かに彼は優秀だ。だが、優秀ゆえに物事を考えすぎる癖がある……今回の戦争だって、本当に必要があったのか……私が判断するのは正直難しいな」

「戦争なんて……誰も好むものではないでしょう」

「まあね。でも、それがザイツの考え方である以上、私たちはみな運命共同体だ」

「そうですね」

皇帝陛下はだんだんとしんみりし始めた。毒の効果なのだろうか……それとも？？？

「なあ、マリア殿。君がこれから何を望むのか……それはわからないが、須らくこの世界をあなた方若い者に委ねるのは必然のこと……しかるに、よろしくお願いいたしますぞ……」

皇帝陛下は最後にこう言い残した。

「わかりました。ありがとうございます。皇帝陛下……」

私も最後にこう言い残して終焉を迎えた。