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「ローレンス……久しぶりですね」
「マリア様……見違えるほど美しくなりましたね」
「美しくですって???この私が???またまた、あなたは本当に冗談が上手いわねえ……」
「いいえ、冗談で申し上げているわけではございません。あなた様は本当に……ザイツ様と婚約なさってから、それはそれは綺麗になられましたよ……」
「あの……本気でおっしゃっているの???」
「私はいつでも本気です……」
何処かで聞いたことのあるセリフだと思ったが、私はもう気にしなかった。
「ありがとう。それで……一つ相談があるんだけど」
「はい、何なりとお申し付けくださいませ」
「革命に関する書庫ってまだあるかしら???」
「革命に関する???ああ、嘗てマリア様も熱心にお読みになっていましたね……」
懐かしい過去……確かに私は一時、革命なるものに憧れたのだ。それが別に王家を倒すわけではなくて、もっと和やかな雰囲気で世界を変えることができればいいと思っていただけだ。私も貴族の端くれであるから、間違っても民衆が立ち上がり武器を持つようなことになれば、それこそ私の首もすぐさま吹っ飛ぶことになりかねないから。
「マリア様???どうかなさいましたか???」
「いや、昔あなたも革命とかそう言う本を読んでいたかなって思ったりして……もうずいぶんと昔の話になってしまったけどね……」
「マリア様……覚えていたんですね???」
「ええ、本好きな人ってあんまりいないけど……私がここに来るとき、大抵あなたも読んでいたでしょう???だから、なんとなくそう感じていたのよ」
私がこう言うと、ローレンスはなにか考えているような顔をして、
「私も似たようなことを考えていました」
と言った。
「そして……どういうわけだか分かりませんが、そのうちあなた様がここにやって来て……少しばかし昔話をして……でも、あなた様はまさに今、その革命を起こす立ち位置にいらっしゃると……ああ、現実とは怖いものです」
この時、私とローレンスの間に見えざる一本の糸が生まれたような感じがした。
「ひょっとして、あの時のことをまだ覚えているの???」
私がこう質問すると、ローレンスはまっすぐ私の方を見て、
「もちろんです」
と答えるのだった……。
「マリア様……見違えるほど美しくなりましたね」
「美しくですって???この私が???またまた、あなたは本当に冗談が上手いわねえ……」
「いいえ、冗談で申し上げているわけではございません。あなた様は本当に……ザイツ様と婚約なさってから、それはそれは綺麗になられましたよ……」
「あの……本気でおっしゃっているの???」
「私はいつでも本気です……」
何処かで聞いたことのあるセリフだと思ったが、私はもう気にしなかった。
「ありがとう。それで……一つ相談があるんだけど」
「はい、何なりとお申し付けくださいませ」
「革命に関する書庫ってまだあるかしら???」
「革命に関する???ああ、嘗てマリア様も熱心にお読みになっていましたね……」
懐かしい過去……確かに私は一時、革命なるものに憧れたのだ。それが別に王家を倒すわけではなくて、もっと和やかな雰囲気で世界を変えることができればいいと思っていただけだ。私も貴族の端くれであるから、間違っても民衆が立ち上がり武器を持つようなことになれば、それこそ私の首もすぐさま吹っ飛ぶことになりかねないから。
「マリア様???どうかなさいましたか???」
「いや、昔あなたも革命とかそう言う本を読んでいたかなって思ったりして……もうずいぶんと昔の話になってしまったけどね……」
「マリア様……覚えていたんですね???」
「ええ、本好きな人ってあんまりいないけど……私がここに来るとき、大抵あなたも読んでいたでしょう???だから、なんとなくそう感じていたのよ」
私がこう言うと、ローレンスはなにか考えているような顔をして、
「私も似たようなことを考えていました」
と言った。
「そして……どういうわけだか分かりませんが、そのうちあなた様がここにやって来て……少しばかし昔話をして……でも、あなた様はまさに今、その革命を起こす立ち位置にいらっしゃると……ああ、現実とは怖いものです」
この時、私とローレンスの間に見えざる一本の糸が生まれたような感じがした。
「ひょっとして、あの時のことをまだ覚えているの???」
私がこう質問すると、ローレンスはまっすぐ私の方を見て、
「もちろんです」
と答えるのだった……。
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