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「お妃様は、こんなことはして下さらないでしょう???」

そう言って、女たちはかわるがわるにザイツ様のことを癒すのだった。ザイツ様も初めは罪悪感があったのかもしれない。でも、流石は男の方……すぐさま打ち解けてしまったのだ。

「ああ、確かにこう言うのも悪くはないか……」

悪くない……そうそう、それでいいと私は思った。やっぱり、私たちの関係はもうとっくに終わってしまったのだ。だから、これ以上何かを期待する必要はない。ザイツ様は……その権力を行使して自らを高める方法を幾つでも持っている。ああ、私の時代はすぐさま終わってしまった。

これからどうしよう……私は本気で考えるようになった。私が全くうかない顔をしているのを、メイドたちが見ているとすぐさま噂話を始めるのだった。

「ねえ、マリア様も段々おかしくなっているのでは???」

「そりゃそうでしょう。だって……ご主人様に捨てられたようなものなんだから……」

私のことがすっかり話題になって……メイドたちではなく、皇帝陛下やお父様も心配するようになってしまった。

「おいおい、マリア!!!!」

お父様が久しぶりに私のところにやって来た。私の気持ちを分かってくれる……わけでは無くて、純粋に文句を言いに来るだけだった。

「お前はどうして……これほどまでに役立たずなんだ!!!!」

役立たず……そんなセリフは私にぴったりなんだ。私はやっぱり何もできない。私がザイツ様の元に嫁いだのは、ザイツ様の子供を産むこと……もちろん、未だに実現していないし、実現する見込みはない。第一、ザイツ様はいま戦場にいるのだから……。

「そんな言い訳が通ると思っているのか???」

静かに……私のお父様はしかしながら、私のことをずっと批判するのだった。

「どうして、お前も一緒についていかないんだ???それくらいのことならできるだろう???」

「お言葉を返すようでございますが……ザイツ様があくまでも一人でお行きになりたいと……」

私がここまで言うと、お父様は深いため息をついた。

「はあああっ……もうダメか……」

ダメなのは私……誰も私の気持ちを理解してくれない……そう悲観する日々が続くのだった。
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