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私はあえて聞かないふりをした。というのも、メイドたちがザイツ様に手を出すことは明らかだった。でも、私が彼女たちを止める権利なんてないと思った。だから……そのまま何も言わなかった。

すると……???

「きゃあああっ!!!!」

朝方聞いたメイドたちの一人……彼女の声が響き渡った。私は驚いて、ザイツ様の部屋に向かった。

「君は一体、何を考えているんだ!!!!」

ザイツ様が激怒していた。そして、ベッドの下に哀れな姿で横たわっていたのが、例のメイドだった。私の姿を見て、余計に悲しくなったのか、涙を流した。私はどのように対処すればいいのか分からなくて、とりあえずザイツ様に声をかけたのだった。

「ザイツ様!!!」

私が声をかけると、ザイツ様は一度私の方を見て、

「ああ、マリア殿か……」

とだけ言った。なんか素っ気ない態度だと思った。

「どうしたんですか!!!」

聞くまでもないことだった。でも、私は聞いてしまった。

「別に……何もありませんよ。ただ……この卑しきメイドが!!!!私の許可なく部屋に入って来たので、制裁を加えていただけのことです……」

ザイツ様は冷静だった。まあ、やっぱり噂通りの変人なのか……私はそう思った。

確かに、メイドは若く魅力的な身体をしていた。少なくとも私よりかは大部マシだった。確かにいけないことかもしれない……でも、私と婚約したことで鬱憤が溜まるのだとしたら、それを晴らすのには十分な女だと思われた。やはり……ザイツ様は変人か???

そんな想いをめぐらせながら、なんとなく眺めていた。メイドは相変わらず悲しがっていた。

「君をこの家から追放する!!!!」

ザイツ様は最後にそう言い放った。当然と言えば当然の報い……でも何だか、私の方が申し訳なくなった。


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