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「いままで、各国の王家がどのように崩壊したか、歴史で習っただろう???」

お父様は突然、歴史の話を始めた。王家の歴史……王家が途絶える裏側には女がある。

「普通に考えれば、王家に嫁ぐ娘と言うのは、その世界で最も美しい女と決まっているな。だがしかし、美しい女に相対した男ってものは、随分と非力になってしまうものだ。隣国を見てみろ。あちらの王子の妃は絶世の美女と名高いそうだが、そのおかげで国は崩壊しかけているじゃないか。王家に忍び込んだスパイ、とまで噂されているな」

隣国とはただいま戦争状態になっている。ザイツ様の父親に当たる皇帝陛下が自らの手で領土拡大を望んでおり、弱体化した隣国を併合しようと躍起になっているわけだ。

「だからな、この国にもお前と同等の令嬢で美しい娘はいると思うが……その娘たちがザイツ様に嫁ぐことになれば、この国も隣国と同様に弱体化する恐れがある、というわけなのだ」

因みに、この理屈は誰でも分かっている話なのだが、やはり男は色物を好む生き物であるから、絶世の美女などと噂された娘をなんとか自分のものにしようと画策するのが常なのだ。少なくとも、現皇帝陛下には側室を含めて数十人の娘を囲い込んでいると噂されている。

「皇帝陛下は……昔ながらの皇帝かもしれない。しかしながら、ザイツ様は違った考えをお持ちなのだ。つまり、この国をもっと強靭なものにしたい……そのためには自ら積極的に政治を行いたいと考えているようだ。そこに、小綺麗な娘は邪魔というわけさ。お前に求められているのはただ一つだ。なんだかわかるか???」

「つまり……ザイツ様の妃になって、子供を産めばいいということですね???」

「その通りだ。よく分かっているじゃないか。真実の恋とか、そういう子供だましはもう十分なんだ。ザイツ様自身も、そう言うものには一切興味がないみたいだからな。お前はこの後ザイツ様の元に嫁ぎ、特に愛し合うこともなく、夜に何回か身体を重ねるだけでいい。それで身籠ることができれば……それで十分なんだ……」

「分かりました。私がどのように振る舞うべきか……」

「分かればそれでよろしい。さあ、これからザイツ様の元へ会いに行くぞ!!!」

「今日ですか???いきなり過ぎませんか???」

「ああっ???そんなことはない。既に段取りはできている。お前に話をしたのは、当然今日が初めてってことにはなるがな……」

お父様はそう言って、準備を始めた。

「さあ、お前も早く仕度をするんだ!!!」

そう言われて、仕方なく私も準備を始めた。
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