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「シャルロッテ。突然で申し訳ないが……」
夫候補である公爵:ゲーベンが突如切り出した。両家主催の新年会…世界は私とゲーベンが上手く婚約に結びつくことを期待していた。そこに、私やゲーベンの意思は一切関係なかった。私の家は王家に近い血筋であり、ゲーベンの家は有数の財閥である。2つの家が結ばれれば世界は安泰…分かりきった話であった。
「君との婚約を破棄しようと思う……」
99%確定した婚約に待ったをかけたのはゲーベンだった。理由……そんなものは明白だった。でも一応、形式上は婚約者候補として真意を確認しないわけにはいかなかった……ほら、ゲーベンの後ろにはシュークリームのような顔をした妹のエミリーが控えていた。
「理由を御聞かせくださいますか?」
私はゲーベンに質問をした。私の両親はゲーベンに殺意の眼差しを向け、ゲーベンの両親もまた、非常に困惑していた。ゲーベンの家にとって、私の家を敵に回すことは避けないといけない……いや、成り行きとしては私だけを敵に回すことになるかもしれないが、最終的に私の家そのものを敵に回すことにはならなかった。
「それはだな……」
ゲーベンは返事に困った。ゲーベンの背後に隠れていたエミリーが一度会釈をして、私の前に歩み出た。
「恐れながら……その原因はお姉様にあると思います!」
エミリーは元気に答えた。エミリーの狙いなど最初からお見通しだった。比較的仲良しな姉妹だったと自負している。でもね、貴族の世界で姉妹は結局のところ上手くいかない。どこかに軋轢が生まれて……それが嫉妬に変わって、姉妹関係はいとも簡単に崩壊してしまうのだ。
エミリーは私よりも格段に美しく、貴族世界の華であった。彼女に求婚する貴族は多かったが、妹として育ったこともあり、人一倍プライドに敏感であった。
「私は……最も私のことを大切にしてくれる王子様みたいな人と婚約するのです!」
そのお相手というのが……つまりはゲーベンということだった。公爵家の血筋であり有数の財閥であり……エミリーのプライドを満たすには十分な相手だったというわけだ。
私とゲーベンの逢瀬はこの日の間までにおおよそ1年続いた。その間、エミリーは私の後ろに控えてちょくちょく、ゲーベンと会った。私よりもアイコンタクトが上手かった。私は彼女よりも美しくないことを知っており、ゲーベンは無類の女好きであることを知っていた。家に仕える女中と盛んな夜をたくさん過ごしている、という話は有名だった。そんなゲーベンが私よりもエミリーを最終的に妻としたいと考えるのは、明白であった。
機会を狙って……彼女にとっても捨て身のアピールなのだろう。だから、私は姉として妹と面と向かって対峙することに決めたのだ。
夫候補である公爵:ゲーベンが突如切り出した。両家主催の新年会…世界は私とゲーベンが上手く婚約に結びつくことを期待していた。そこに、私やゲーベンの意思は一切関係なかった。私の家は王家に近い血筋であり、ゲーベンの家は有数の財閥である。2つの家が結ばれれば世界は安泰…分かりきった話であった。
「君との婚約を破棄しようと思う……」
99%確定した婚約に待ったをかけたのはゲーベンだった。理由……そんなものは明白だった。でも一応、形式上は婚約者候補として真意を確認しないわけにはいかなかった……ほら、ゲーベンの後ろにはシュークリームのような顔をした妹のエミリーが控えていた。
「理由を御聞かせくださいますか?」
私はゲーベンに質問をした。私の両親はゲーベンに殺意の眼差しを向け、ゲーベンの両親もまた、非常に困惑していた。ゲーベンの家にとって、私の家を敵に回すことは避けないといけない……いや、成り行きとしては私だけを敵に回すことになるかもしれないが、最終的に私の家そのものを敵に回すことにはならなかった。
「それはだな……」
ゲーベンは返事に困った。ゲーベンの背後に隠れていたエミリーが一度会釈をして、私の前に歩み出た。
「恐れながら……その原因はお姉様にあると思います!」
エミリーは元気に答えた。エミリーの狙いなど最初からお見通しだった。比較的仲良しな姉妹だったと自負している。でもね、貴族の世界で姉妹は結局のところ上手くいかない。どこかに軋轢が生まれて……それが嫉妬に変わって、姉妹関係はいとも簡単に崩壊してしまうのだ。
エミリーは私よりも格段に美しく、貴族世界の華であった。彼女に求婚する貴族は多かったが、妹として育ったこともあり、人一倍プライドに敏感であった。
「私は……最も私のことを大切にしてくれる王子様みたいな人と婚約するのです!」
そのお相手というのが……つまりはゲーベンということだった。公爵家の血筋であり有数の財閥であり……エミリーのプライドを満たすには十分な相手だったというわけだ。
私とゲーベンの逢瀬はこの日の間までにおおよそ1年続いた。その間、エミリーは私の後ろに控えてちょくちょく、ゲーベンと会った。私よりもアイコンタクトが上手かった。私は彼女よりも美しくないことを知っており、ゲーベンは無類の女好きであることを知っていた。家に仕える女中と盛んな夜をたくさん過ごしている、という話は有名だった。そんなゲーベンが私よりもエミリーを最終的に妻としたいと考えるのは、明白であった。
機会を狙って……彼女にとっても捨て身のアピールなのだろう。だから、私は姉として妹と面と向かって対峙することに決めたのだ。
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