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最弱の冒険者クリス・誕生 その1
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私の名前はクリス。辺境伯爵の長男として生まれ、なに不自由ない生活をしていた。ある日、第一王女……えっと、名前は何といったかな?思い出せないけど、ともかく王女様が私の辺境にやって来た。見たこともない美しさだった。自分とは違う世界に住んでいる……そんなことを考えたんだけど、王女様はなぜか私の方にやって来たのだ。
「王女様!!!どこに行かれるのですか???」
もちろん、彼女に仕えるメイドたちは止めた。だって、誰も私の素性なんて知らないんだから。素性の知らない男に近づいちゃだめだよね。何をされるか分からないから。
「あなたたちはそこで待っていなさい……」
王女様の威厳?そんなものを感じながら、それでも私の方にやって来るのだった。直接顔を合わすのには身分が遠すぎた。私は思わず膝まづいた。
「あら、何をしているの?顔を上げてください……」
王女様は言った。
「いいえ……私どもがあなた様の御尊顔を直接……」
「堅苦しい挨拶はいいから、さあ……」
そう言って、王女様は私の顔に触れたのだった……その美しい手の温もりを、私は直に感じた。
「あのおっ……」
私はこれ以上何も言えなかった。
「クリス殿……辺境伯爵の血筋ですね???」
いや、何で知ってるの?少し怖くなった。でも、王女様が私のことを貴族と認めてくれたことで、控えていたメイドたちの態度が大部変わった。まあ、そうだろうな。王女様の手に触れるほど偉い身分ではないけれども。
「さあ、お顔を上げてくださいな……」
まあ、そこまで言うんだったらいいか……そう思って仰せの通り顔を上げた。ああ、なんて眩しいのだろう…太陽を虫メガネで覗いているようだった。
「始めてお会いして……ビビッと来てしまいましたわ!!!」
そうそう、ファーストインプレッションが大切って……そう言うのじゃない!!!
「なんですって???」
思わず声が裏返ってしまった。
「あああ、その困惑した表情も……たまりませんわあっ!!!」
いや、どういうこと???分からない……一目惚れ???王女様が、この私に???そんなこと、あるわけないでしょ???だって、普通の顔だよ???何の変哲もない、全てが平均というか……いや、平均以下かな???少なくとも中央の貴族様の方が、もっといい顔立ちをしていると思うんだけど……???
「その平均的で変哲もない素顔……ああ、私に言い寄って来る醜悪と下劣のミックスした殿方から程遠い出で立ち……傲慢さなんて微塵もなく、ほらっ……小鳥やウサギが寄って来るではありませんか!!!」
ああ、小動物の面倒を見るのは日課だからね。別に普通のことなんだけどな。まあ、森林のない王宮に住まう王女様にとっては新鮮な光景なのかな???
「ああ、これほど自然で素朴で……私に言い寄ってこない殿方はあなたが初めてですわ。これこそ運命……私の婚約者にぴったりですわ!!!」
婚約者……だって???私が第一王女と???夢でも見ているのか。そう思って頬を引っ張ってみたけど、普通に痛かった。
これは夢じゃない……???
「ネルンスト、お父様に宛てて手紙を書くのよ。善は急げ!!!」
「畏まりました……」
メイド長だろうか、王女様に命令されて、すぐさま手紙をスラスラと書き始めました。
「クリス殿……いや、クリス様!!!私の運命の婚約者ですわ!!!」
王女様にクリス様と呼ばれて……これから一体どうなってしまうのか。いや、思い返せば、やっぱり異常事態だったんだ。だから、私は今……どこにいるんだ!!!この世界は!!!
「王女様!!!どこに行かれるのですか???」
もちろん、彼女に仕えるメイドたちは止めた。だって、誰も私の素性なんて知らないんだから。素性の知らない男に近づいちゃだめだよね。何をされるか分からないから。
「あなたたちはそこで待っていなさい……」
王女様の威厳?そんなものを感じながら、それでも私の方にやって来るのだった。直接顔を合わすのには身分が遠すぎた。私は思わず膝まづいた。
「あら、何をしているの?顔を上げてください……」
王女様は言った。
「いいえ……私どもがあなた様の御尊顔を直接……」
「堅苦しい挨拶はいいから、さあ……」
そう言って、王女様は私の顔に触れたのだった……その美しい手の温もりを、私は直に感じた。
「あのおっ……」
私はこれ以上何も言えなかった。
「クリス殿……辺境伯爵の血筋ですね???」
いや、何で知ってるの?少し怖くなった。でも、王女様が私のことを貴族と認めてくれたことで、控えていたメイドたちの態度が大部変わった。まあ、そうだろうな。王女様の手に触れるほど偉い身分ではないけれども。
「さあ、お顔を上げてくださいな……」
まあ、そこまで言うんだったらいいか……そう思って仰せの通り顔を上げた。ああ、なんて眩しいのだろう…太陽を虫メガネで覗いているようだった。
「始めてお会いして……ビビッと来てしまいましたわ!!!」
そうそう、ファーストインプレッションが大切って……そう言うのじゃない!!!
「なんですって???」
思わず声が裏返ってしまった。
「あああ、その困惑した表情も……たまりませんわあっ!!!」
いや、どういうこと???分からない……一目惚れ???王女様が、この私に???そんなこと、あるわけないでしょ???だって、普通の顔だよ???何の変哲もない、全てが平均というか……いや、平均以下かな???少なくとも中央の貴族様の方が、もっといい顔立ちをしていると思うんだけど……???
「その平均的で変哲もない素顔……ああ、私に言い寄って来る醜悪と下劣のミックスした殿方から程遠い出で立ち……傲慢さなんて微塵もなく、ほらっ……小鳥やウサギが寄って来るではありませんか!!!」
ああ、小動物の面倒を見るのは日課だからね。別に普通のことなんだけどな。まあ、森林のない王宮に住まう王女様にとっては新鮮な光景なのかな???
「ああ、これほど自然で素朴で……私に言い寄ってこない殿方はあなたが初めてですわ。これこそ運命……私の婚約者にぴったりですわ!!!」
婚約者……だって???私が第一王女と???夢でも見ているのか。そう思って頬を引っ張ってみたけど、普通に痛かった。
これは夢じゃない……???
「ネルンスト、お父様に宛てて手紙を書くのよ。善は急げ!!!」
「畏まりました……」
メイド長だろうか、王女様に命令されて、すぐさま手紙をスラスラと書き始めました。
「クリス殿……いや、クリス様!!!私の運命の婚約者ですわ!!!」
王女様にクリス様と呼ばれて……これから一体どうなってしまうのか。いや、思い返せば、やっぱり異常事態だったんだ。だから、私は今……どこにいるんだ!!!この世界は!!!
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