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その8

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「お姉さま……どうして私の話を聞いてくださらないのですか???私はいま、困っているのです……」

何度も何度も、タバチエールの声が響いてくるようになりました。

「私もまた、旅をしております。私は……お姉さまに会いたいのです。ねえ、どこにいらっしゃるのですか???お姉さま、私のお姉さまはどこに行ってしまったのですか???」

どうやら、タバチエールは迷子になってしまったようでした。いや、本質的に迷子になる必要なんてないと思ったのですが……まあ、仕方がありませんね。

「タバチエール……どうすればいいのかしら???」

私は時折、タバチエールの声に反応してみます。

「決まっているじゃありませんか。こんな私を捨てて逃げなさったお姉さま……でもね、私にいつも優しくしてくださるお姉さまにもう一度会いたいと思っているんです……。こんなわがままな妹で申し訳ないのですが……ダメですか???」

ダメってことは何もないのです。でも、少なくとも私は間違ったことをしたとは思っておりませんでした。それがタバチエールの幸せになると完全に信じておりましたから。でも、それが結果としてダメな方向に向かっているとするならば……私の力不足と言いますか、いいえ、私がまた悪いってことになってしまうのでしょうか。

「何を一人で背負い込んでいるんだ???最近暗いじゃないか……」

タバチエールを捨てた……そんな自覚はどこにもありませんでした。これが彼女にとっての幸せだと感じておりましたし……ボリス様が彼女のことを愛していたのですから、そのまま愛される人生を送れば、全て解決するものだと信じていたのです。

それが……結果としてこのような不幸につながるだなんて、誰も想像していなかったのでしょう。

世界に通じる一本の道……そのどこかで、タバチエールはひどく痩せこけた状態になって踏みつぶされたひまわりのように倒れこんでおりました……。

「タバチエール、一体どうしたっていうのよ!!!」

私は思わず駆け寄りました。タバチエールはそこに私がいることに気が付きました。

「お姉さま……私を助けに来てくださったのですか???私にとっての救世主は……お姉さましかいないのですから……」

そう言って、タバチエールは一度気を失いました。
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