公爵令嬢と卑しい王子~離縁の駆け引き~

岡暁舟

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ファニーのため……彼女の笑顔を守るため、私はご馳走を平らげた。

ああ、素晴らしきことだった。

「いい食べっぷりですな。マリアは!!!」

ロールス様も喜んでいるようだった。

「さて、食事が終わったら……後は長い長い夜の語らいと行きましょうか!!!」

ロールス様は男として興奮しているようだった。興奮するのはいいんだけど……私のことをじっくり見つめると、やっぱり幻滅するんじゃないかしら……なんて不安が募る一方だった。

リンゲル様との初夜を思い出して……彼はあれ以来、私のことを完全に捨ててしまったのだ。

「君には全く魅力がない」

そうきっぱりと言い放たれたわけだ。別に悲しいとかそう言う感情にはならなかった。

ただ……改めて自分には女としての魅力がないとしみじみ感じたのだった。

「おーい……マリア。どうして固まっているのですか???さあ、行きますよ……」

「ああ、ありがとうございます……」

別に感謝することではない。それよりもどんどん不安になって来る!!!

仕方がないのか???本当に???もう何もできないのか???

私はこのままロールス様に抱かれてしまうのか???


「不安ですか???」

「ええ、ものすごく!!!」

この時ばかりは正直だった。だって……本当に興ざめしてしまうと思ったから。普通にやっていたら。

「そうか……そうですか……」

ひょっとして……一回考え直してくれるのかしら???

私は一瞬期待した。

「とは言うものの、これ以上我慢できません!!!」

…………結局そうなるのか…………

私はお姫様抱っこのまま、ロールス様の寝室へ運ばれた。

「ねえ、ここって修道院でしょう???本当に大丈夫ですか???」

私はせめてもの開き直りをした。まあ、この程度のコメントで考え直す男でないことはとっくに分かっていたことなのだが……。

「健全な愛を育む男女を、神が分かつはずはありません!!!」

またまた大層なご意見で……私は段々心配になって来た。

「ああ、そうなんですね。それはどうも……申し訳ございません……」

「心配する必要はないですよ。さあ、始めましょう!!!私たちの新たなファンタジーを!!!」

ファンタジー……冗談だと思ったけど、ロールス様にとっては新種のファンタジーだったのだ。

「あの……私処女なんですけど……」

「ああ、それなら心配はいりません。私も童貞だから!!!!」



「えええええええええええええええっ??????????」

私は思わず叫んでしまった。プレイボーイと名高いロールス様がまさかの童貞だって?????????

信じることができなかった。

「だから……お互い始めてですね!!!」

そんな……そんなわけないだろう……。

私はどんどん分からなくなった。
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