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その4

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「むしろうれしそうじゃありませんか。これは私の勘違いでしょうか。もしそうじゃなかったとしたら、今回の婚約破棄っていうのは、あなた様にとっては非常に良いことだったのかもしれませんね」

リチャード様が話を続けるたびに、私はちょっとずつ振り返っていました。確かに、私は王子様と婚約することが決まってから、いちどもきちんと愛された記憶と言うものがないように思えたわけでございました。確かに、私は正妻ではありますが、妻と言うものは他にもいたわけでございます。

別に、私だけを愛するなんて事はありえないわけでございます。正直な話、王子様に求められるものは、次の世代の子供たちなのです。ですから、形的に私を愛するということではなくて、私が王子様の子供を産むことができれば、それでも充分なわけでございます。

その気になれば、私は王子様の子供を産むことができたかもしれません。そもそも、私が王子様の婚約者に選ばれたのは、お父様が皇帝陛下の側近であると言うこと、そして、私たちの家柄が、非常に優れていると言うことでした。ですから、皇帝陛下としても、私のお父様としても、私と王子様の間に子供が生まれることを非常に楽しみにしておられたわけでございました。おそらくは。

ですが、それが私では叶わなくなりました。その代わりと言ってはなんですが、王子様は、私の妹であるリーバクトを好きになったわけでございます。

確かに、妹とおじさまの間にきちんと子供が生まれれば、それはそれで問題は無いのでしょう。ところで、リーバクトが積極的に王子様と子作りするかどうか、それは非常に悩ましい問題であると思いましたが。
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