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10(スティーブン視点)
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アンナが去って1か月がたとうとしていた。どうしてアンナが去っていったのか、私は知らない。気が付けばいなくなっていた、という表現が正確か。私の周りにはたくさんの令嬢が集まってくる。悪くはない。決して悪くはないのだが…どうして心が満たされないのか。
両親からは適当な令嬢を引っかけていいから、早く婚約するように言われている。そう、それでいいんだ。美しく魅力的な令嬢は、自然と集まってくるのだ。でもね、なぜか知らないが長続きしない。
「私のことをバカにしているの?」
私は夜空を見るのが好きだった。綺麗な空と満点の星…見ていると涙が溢れてくる。恥ずかしくて…他の人には見せられないから。1人になれる時間が一番心の落ち着く時間であった。
「別にバカにしていないよ……」
「じゃあ、私の方を見てよ!!!」
そんな聖域に厚かましく入って来る女を…私は大体軽蔑した。この世界のちっぽけな美しさと比べて、女の人間的な美しさなんて大したことはないんだ。女の方を見るのは下世話に生きたい時であり、なるべくロマンティックに生きたいと思っている。
「ねえ、私の相手をするのが嫌なの???」
「そんなことは言ってない…さあ、静かにこの夜空を見ようよ……」
「私よりも夜空の方がいいなんて、あなたはやっぱり変わっているわ……」
理解してくれない女はいらない……そんな態度を感じ取ると、女はみんな私の前から去っていく。去る者は追わない。下手に高慢でプライドの高い女は最初から相手にしない。
毎日毎日代わる代わる新しい令嬢が目の前に現れては、みんな去っていく。今日で20人目だった。いっそのこと、このまま1人で生き続けるか…生きづらいこの世界で。
時間の止まった物語が、再び動かす時……それは、辺境からやって来た伯爵と出会った時であった。その伯爵には連れがいた。私の運命を惑わす令嬢…もう一度触れてみたいと思う令嬢であった。
両親からは適当な令嬢を引っかけていいから、早く婚約するように言われている。そう、それでいいんだ。美しく魅力的な令嬢は、自然と集まってくるのだ。でもね、なぜか知らないが長続きしない。
「私のことをバカにしているの?」
私は夜空を見るのが好きだった。綺麗な空と満点の星…見ていると涙が溢れてくる。恥ずかしくて…他の人には見せられないから。1人になれる時間が一番心の落ち着く時間であった。
「別にバカにしていないよ……」
「じゃあ、私の方を見てよ!!!」
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「そんなことは言ってない…さあ、静かにこの夜空を見ようよ……」
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