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9(マリー視点)
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婚約破棄のニュースはすぐさま広がった。そして、アンナがエルヴィン様の新しい婚約者になったこともすぐさま伝わった。いつしか、私は悪役令嬢ということで噂が広がった。
横暴な姉と健気な妹……いわゆるシンデレラストーリーだ。私は……もう何も気にしない。今更何と言われても平気……なんだけど、アランは違う姿勢を見せた。
「悔しくはないのか?ここまで噂されて……」
「まあ、実際のところアンナの境遇は恵まれていなかったし……」
「そういうことじゃなくて……そうだとしても、お前の責任ではないだろう。むしろ、お前の方が被害者だろう。王子は最初から妹目当てだったんだろう?」
「……まあ、そういうことになるけどね」
「お前は、はめられたんだよ。それなのに……許してしまっていいのか?」
別に許すとか、許さないとか、そういう問題ではないと思った。
「仮に戦おうとしても勝てる相手じゃないから……」
「いや、僕は決して認めないぞ!幼馴染が悪役令嬢の汚名を着せられるなんて……僕には我慢できないや!」
アランは本気で私のことを心配しているようだった。変な気を起こさなければいいけど……なんて考えた。
「なあ、マリー。僕に任してくれないか?」
「……任せるって、何を?」
「君は何も考えなくていい。これは僕の仕事だからね……」
アランは最後に笑っていた。そして、しばらくの間、私の前から消えることとなった。
横暴な姉と健気な妹……いわゆるシンデレラストーリーだ。私は……もう何も気にしない。今更何と言われても平気……なんだけど、アランは違う姿勢を見せた。
「悔しくはないのか?ここまで噂されて……」
「まあ、実際のところアンナの境遇は恵まれていなかったし……」
「そういうことじゃなくて……そうだとしても、お前の責任ではないだろう。むしろ、お前の方が被害者だろう。王子は最初から妹目当てだったんだろう?」
「……まあ、そういうことになるけどね」
「お前は、はめられたんだよ。それなのに……許してしまっていいのか?」
別に許すとか、許さないとか、そういう問題ではないと思った。
「仮に戦おうとしても勝てる相手じゃないから……」
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「なあ、マリー。僕に任してくれないか?」
「……任せるって、何を?」
「君は何も考えなくていい。これは僕の仕事だからね……」
アランは最後に笑っていた。そして、しばらくの間、私の前から消えることとなった。
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