わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑

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グラント氏の後ろ盾を失ったエリーゼは非常に困惑していました。それと同時に、彼女は学院内でいじめの対象になっていきました。親の力を持ってして、カースト上位にいたわけなのですが、こうして地に落ちてしまうと、今度は無視され悪口を言われる対象になるのでした。

「見てみて…あれってエリーゼじゃない？？？」

それまで友達を演じていた同級生たちが一斉に彼女のことを攻撃し始めました。そして、相手にしなくなりました。

「どうして、私はどうして一人ぼっちになってしまったの」

エリーゼはよく、自分に問いかけていたようです。それは明白でした。仮にいくらか良心が残されていたとしても、彼女との付き合いを進めるものはいませんでした。そうすると、彼女はますます孤立していきました。

「ふざけないで。私を誰だと思っているのよ！」

エリーゼは特に怒鳴りました。

「さすがは犯罪者の娘ね！」

人々は彼女のことを批判しました。そして彼女がどんどん地に落ちていくのを見ていて滑稽だと思っていました。

「許せないわ！！！！！」

エリーゼが本気で怒り出して……その吐口は何故だか私の方に向いておりました。

「全部、あなたがやったことなんでしょう。あなたたちが仕組んだことなんでしょう。お父様を失脚させて、今度は私の人生をめちゃくちゃにするつもりなのかしら！！！！！」

私はこの件に関しては、何も知りませんでしたし、エリーゼのことを貶めようと思ったこともありませんでした。そんなことに興味がなかったのです。

「あなたの事は絶対に許さない！！！！！」

逆恨みだと思いました。ところで、私とエリーゼのやりとりを見ていた人々は最初、私のことを気の毒だと思っていたようでした。ところが、この喧嘩がどんどん進んでいくうちに、面白く感じるようになったのかもしれません。

「たしかに……マリアにも問題があるんじゃないかしら。なんといっても、あの王子様と付き合っていると言う噂もあるし……」

それとこれとは別の問題、そもそもあれは王子様が一方的に私に対して感情を抱いているだけのことでした。私はまだ、彼の気持ちを受け入れることができていませんでしたから。でも、人々はそんなことを知りません。この件も絡んできて、人々はより一層面白く感じたのでしょう。

「マリア、あなたはいつも王子様のことをたぶらかしているじゃない！！！！！」

エリーゼもまた、私のことを非難しました。でも、だからといって彼女の株が上がる事はありませんでした。非難されようと何をされようと、私は特に何もしませんでした。