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その3

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「マリア………マリア!!!!」

どこか遠くで私の名前を呼ぶ声……すごく親しみぶかい声の主は、やっぱりヘンデル様だった。

その容姿に、私は驚愕した。だって、下半身はタオルでおおわれていたが、上半身は露出していて、いかにも男らしい、筋肉質な繊細さが光り輝いていたものだから。

「ヘンデル様!!!!どうして裸なのですか!!!!!」

私は思わず叫んでしまった。まあ、ヘンデル様の裸を見るのは、もう随分と久しぶりだと思った。彼と交わる夜なんて、もういつのことだったか……思い出すのも難しいレベルだった。

「驚くことはないだろう。もう見慣れているじゃないか??????」

「そんなことはありません!!!!!」

どうしてだか、私は怒りが募るのだった。

「おいおい、マリア。どうしたんだよ????怒っているのかい?????」

「いいえ……別にそういうわけではございません……」

怒っている……確かに怒っているのかもしれない。でも、彼にその真意を伝えることはできなかった。

恥ずかしい……いいや、もっと正確に言えば、怒りを超えて悲しみだった。

もうこれ以上、関わる必要はない……そう思った。いくら私がヘンデル様を必要としても……彼はこれ以上私を必要とはしていないのだから。私は100人いる妻の中で1人の価値しかない。それ以上ないのだ。

仕方がない……これが、ヘンデル様の望みなのだから。私の愛するヘンデル様が望んでいることなのだから、その考えを最大限尊重するのは当たり前のことなのだ。

だけど……だけども。

だから、もう決めたんだ。


「なあ、マリア。どうしたんだよ???久しぶりに星でも一緒に見ないか??????」

「あの……申し訳ないのですが、少々疲れました」

ちっとも疲れてなんてない。ヘンデル様のことを考え続けると、かえって頭が冴えてしまうのだ。

「そうなのか?????ならば、早く休むといいよ。また今度にしよう……」

そして、彼がこの後どこに行くのか、大体見当がついている。

今日はおそらく……99人目の妻の寝室に行くものと予想される。

新し者好きのヘンデル様……それでいいんだ。

私が何か干渉する権利なんて、どこにもなんだから……。

また、一人で考え事を続けよう……。


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