上 下
20 / 27

20

しおりを挟む
これだけのことをしでかしたのに、何もお咎めなく終わってしまったロンメル公爵、その婚約者として広く認知されていたマリアは、格好の餌食となった。

「見てみて、あそこにいるのはマリア様じゃない???」

「本当だ。間違いなくマリア様よ!!!」

「すごく不機嫌そうな顔をしている、大変なのかしら???」

「まあ、そうでしょうね」

「ふーん。そうなんだ」

マイナスな噂を流されると、マリアはこれが初めての体験だったわけで、非常に苛立った。でもまあ、実際のところロンメル公爵はそれだけ大きな事件を犯したことになる。仕方のないことだった。

「ああ、どうしましょう!!!」

何をどうすればいいのか、すっかりわからなくなってしまったマリア……その目の前には時々私がいた。もちろん、マリアは私のことなんて何も考えていないから、そのままスルーするのだった。まあ、実際のところ、現状で私のことをスルーするなんてできなかったはずなんだけど。

「マリア、どこに行くのかしら???」

私は気になったので、とりあえず質問してみた。

「私は、どこにも行きませんわ」

「最近、ロンメル公爵はどんな感じなのかしら???」

「さああっ……どんな感じでしょうかね???」

「あなたが知らないわけないでしょう。ねえ、はぐらかす必要があるのかしら???」

私は別に興味本位で糾弾しているわけではなかった。それよりも……もっと深い事情があったのだ。

というか、あれほどの扱いを受けたんだから、そろそろ私にも出番が回ってくるんじゃないかしら???そんなことをこっそり期待しながら。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺は先輩に恋人を寝取られ、心が壊れる寸前。でも……。二人が自分たちの間違いを後で思っても間に合わない。俺は美少女で素敵な同級生と幸せになる。

のんびりとゆっくり
恋愛
俺は島森海定(しまもりうみさだ)。高校一年生。 俺は先輩に恋人を寝取られた。 ラブラブな二人。 小学校六年生から続いた恋が終わり、俺は心が壊れていく。 そして、雪が激しさを増す中、公園のベンチに座り、このまま雪に埋もれてもいいという気持ちになっていると……。 前世の記憶が俺の中に流れ込んできた。 前世でも俺は先輩に恋人を寝取られ、心が壊れる寸前になっていた。 その後、少しずつ立ち直っていき、高校二年生を迎える。 春の始業式の日、俺は素敵な女性に出会った。 俺は彼女のことが好きになる。 しかし、彼女とはつり合わないのでは、という意識が強く、想いを伝えることはできない。 つらくて苦しくて悲しい気持ちが俺の心の中であふれていく。 今世ではこのようなことは繰り返したくない。 今世に意識が戻ってくると、俺は強くそう思った。 既に前世と同じように、恋人を先輩に寝取られてしまっている。 しかし、その後は、前世とは違う人生にしていきたい。 俺はこれからの人生を幸せな人生にするべく、自分磨きを一生懸命行い始めた。 一方で、俺を寝取った先輩と、その相手で俺の恋人だった女性の仲は、少しずつ壊れていく。そして、今世での高校二年生の春の始業式の日、俺は今世でも素敵な女性に出会った。 その女性が好きになった俺は、想いを伝えて恋人どうしになり。結婚して幸せになりたい。 俺の新しい人生が始まろうとしている。 この作品は、「カクヨム」様でも投稿を行っております。 「カクヨム」様では。「俺は先輩に恋人を寝取られて心が壊れる寸前になる。でもその後、素敵な女性と同じクラスになった。間違っていたと、寝取った先輩とその相手が思っても間に合わない。俺は美少女で素敵な同級生と幸せになっていく。」という題名で投稿を行っております。

【完結】義母が斡旋した相手と婚約破棄することになりまして。~申し訳ありませんが、私は王子と結婚します~

西東友一
恋愛
義母と義理の姉妹と暮らしていた私。 義母も義姉も義妹も私をイジメてきて、雑用ばかりさせてきましたが、 結婚できる歳になったら、売り払われるように商人と結婚させられそうになったのですが・・・・・・ 申し訳ありませんが、王子と結婚します。 ※※ 別の作品だと会話が多いのですが、今回は地の文を増やして一人の少女が心の中で感じたことを書くスタイルにしてみました。 ダイジェストっぽくなったような気もしますが、それも含めてコメントいただけるとありがたいです。 この作品だけ読むだけでも、嬉しいですが、他の作品を読んだり、お気に入りしていただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。

漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?

みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。 なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。 身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。 一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。 ……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ? ※他サイトでも掲載しています。 ※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。

婚約者が幼馴染のことが好きだとか言い出しました

マルローネ
恋愛
伯爵令嬢のテレーズは学園内で第6王子殿下のビスタに振られてしまった。 その理由は彼が幼馴染と結婚したいと言い出したからだ。 ビスタはテレーズと別れる為に最悪の嫌がらせを彼女に仕出かすのだが……。

悪役令嬢は、いつでも婚約破棄を受け付けている。

ao_narou
恋愛
 自身の愛する婚約者――ソレイル・ディ・ア・ユースリアと平民の美少女ナナリーの密会を知ってしまった悪役令嬢――エリザベス・ディ・カディアスは、自身の思いに蓋をしてソレイルのため「わたくしはいつでも、あなたからの婚約破棄をお受けいたしますわ」と言葉にする。  その度に困惑を隠せないソレイルはエリザベスの真意に気付くのか……また、ナナリーとの浮気の真相は……。  ちょっとだけ変わった悪役令嬢の恋物語です。

【完結】わたしの隣には最愛の人がいる ~公衆の面前での婚約破棄は茶番か悲劇ですよ~

岡崎 剛柔
恋愛
男爵令嬢であるマイア・シュミナールこと私は、招待された王家主催の晩餐会で何度目かの〝公衆の面前での婚約破棄〟を目撃してしまう。  公衆の面前での婚約破棄をしたのは、女好きと噂される伯爵家の長男であるリチャードさま。  一方、婚約を高らかに破棄されたのは子爵家の令嬢であるリリシアさんだった。  私は恥以外の何物でもない公衆の面前での婚約破棄を、私の隣にいた幼馴染であり恋人であったリヒトと一緒に傍観していた。  私とリヒトもすでに婚約を済ませている間柄なのだ。  そして私たちは、最初こそ2人で婚約破棄に対する様々な意見を言い合った。  婚約破棄は当人同士以上に家や教会が絡んでくるから、軽々しく口にするようなことではないなどと。  ましてや、公衆の面前で婚約を破棄する宣言をするなど茶番か悲劇だとも。  しかし、やがてリヒトの口からこんな言葉が紡がれた。 「なあ、マイア。ここで俺が君との婚約を破棄すると言ったらどうする?」  そんな彼に私が伝えた返事とは……。

【R18】いくらチートな魔法騎士様だからって、時間停止中に××するのは反則です!

おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
 寡黙で無愛想だと思いきや実はヤンデレな幼馴染?帝国魔法騎士団団長オズワルドに、女上司から嫌がらせを受けていた落ちこぼれ魔術師文官エリーが秘書官に抜擢されたかと思いきや、時間停止の魔法をかけられて、タイムストップ中にエッチなことをされたりする話。 ※ムーンライトノベルズで1万字数で完結の作品。 ※ヒーローについて、時間停止中の自慰行為があったり、本人の合意なく暴走するので、無理な人はブラウザバック推奨。

異世界転移した心細さで買ったワンコインの奴隷が信じられない程好みドストライクって、恵まれすぎじゃないですか?

sorato
恋愛
休日出勤に向かう途中であった筈の高橋 菫は、気付けば草原のど真ん中に放置されていた。 わけも分からないまま、偶々出会った奴隷商人から一人の男を購入する。 ※タイトル通りのお話。ご都合主義で細かいことはあまり考えていません。 あっさり日本人顔が最も美しいとされる美醜逆転っぽい世界観です。 ストーリー上、人を安値で売り買いする場面等がありますのでご不快に感じる方は読まないことをお勧めします。 小説家になろうさんでも投稿しています。ゆっくり更新です。

処理中です...