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「寒い夜だ……」

ロンメル公爵様は一人、街を歩いていた。マンネリ化してしまった日常を変えるため……新しいわくわくに出会うため……もはや、マリアとベッドをともにする頻度も少しずつ減ってきたわけだ。

「ロンメル様。お願いですから、もっともっと私のことを愛してくださいませんか。せっかく、こうして新しく夫婦になったと言うのに、冷たくはありませんか???」

マリアはロンメル公爵様が近頃かまってくれなくなってきて、心のどこかで寂しさを募らせていた。

「愛してくださいと頼んで、私がそのまま君のことを愛すると思っているのか???君は随分と楽観主義者なようだね。世の中全て、自分の思い通りになると思っているわけじゃないだろうね???」

「いいえ、そんなことはありません。でも、このままではやっぱり何となく寂しいと思うんです……」

「私の方がよっぽど寂しいさ。君と一緒にいて、楽しいと思ったのはもうはるか昔の話だからな……」

ロンメル公爵様が人一倍プライド重視であることを、マリアは十分理解していた。しかしながら、ここまで面と向かって言われてしまうと、やはり辛くなってくるわけだ。

「いっそのことだから、私の面倒を見てくれる女を探そうかな……」

そう言うと、マリアを屋敷に残したまま一人で旅に出るのだ。もちろん、行き先はおおよそ検討がつく。

「いらっしゃいませ。あらっ……ロンメル公爵様じゃありませんか!!!!!」

「やっぱり、君達に囲まれているほうが楽なものだ……」

ロンメル公爵はこう言った。まあ、当然こうなるのかもしれない。そして、ロンメル公爵の周りには、たくさんの女がやはり集まった。これこそが彼の望む世界だった。もちろん、誰か特定の人間が自分のことを愛してくれるとは思わない。その必要はない。だったら、たくさんの女関係を構築すればいい。それだけのことと割り切っていたのだ。

「一番最初に相手をしてくれるのは誰かな???」

ロンメル公爵がこう言うと、道楽と金に群がる女たちが一斉にレースを始める。ある意味、ロンメル公爵と同じようにプライドの高い女たちだらけだった。

「ああ、愉快だ。それでは、君にしようか!!!」

ロンメル公爵は最初に交わる女をすぐさま見つけ、新しい世界を見つけるのだった。
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