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その19

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「聖女様!急いでどちらに行かれるのですか?」

「いちいち説明しないとわからない?まあいいわ。私は聖女だけど、どうやらこの世界には別の聖女がいるみたいね。そして、世界を乱そうとしている……」

「それはどういう?」

「あなたには分からないでしょう。ああ……あの時情けをかける必要はなかったのね……」

「情け……妹のことですか?」

私は頷いた。すると、軍人たちはあからさまに白い目を私に向けた。

「だからあの時、殺しておけばよかったのですよ……」

だが、聖女たるもの、易々と人を葬ることはできない。命を与えることは出来ても、命を奪うには、それなりの根拠が必要になる。

「結果として、ジューンがただならぬ悪事を働くのであれば、私が止めを刺すしかないでしょう……」

懐にしまわれた小刀が、異常なほど熱を発した。間違ったことをしてはいけない、そう釘を刺しているようにも感じた。



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