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その1

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さてさて、元公爵令嬢の私ソフィアは、ただいま大変な運命を目の前にしているわけでございます。

それはどういうことかといいますと、私はこのたび、第一王子であられますレーガン様と婚約していたわけでございますが、いきなり、レーガン様が私のところにやってきて、

「ソフィア。突然で申し訳ないのだが、私はこの場において、君との婚約を破棄したいと思う」

と言い出してきたわけでございます。私はもちろん、いきなりこんなことを言われてしまったわけでございますので、非常に困ったわけでございます。

「その理由をお聞かせ願いましょうか???」

私がこのように質問いたしますと、レーガン様の後ろから、見覚えのある女の子が現れて参りました。

「アラマ、ソフィア様ではございませんか。お久しぶりでございますね。あれ、ひょっとして私のことを忘れてしまったのでございましょうか。いやですね、私はあなた様のことをとてもよく覚えていますのに……」

「ルイス……ソフィアのことをいじるのはやめたまえ。そんなことをしても、今さら何になると言うのか。今更、彼女の目の前にいたとしても、それは全く意味をなさないわけなのだから」

「まぁ確かに、そうでございますので。王子様のおっしゃるとおりでございます。ソフィア様のことを今この場でいちいちとやかく言ったとしても、私たちにとっては何も利益にはなりませんので。ただしかしながら、ソフィア様を裁くと言う点においては意味があるのかもしれませんが……」

「私のことを裁く、ですって???」

私が裁かれる理由なんて、全くわかりませんでした。神様に誓っても、私は今まで何も悪いことなんてしませんでした。

「ひょっとして、全て忘れてしまったのですか。ねえ、王子様。ソフィア様っていうのは、申し訳ないのですが、相当お馬鹿なお人でございますね」

どうして私がバカと言われなくてはならないのでしょうか。私には全くわかりませんでした。ですが、この場で王子様に対して何か言ったとしても、この女の子の話しか聞かないと思いましたので、反論する事はやめました。


「場合によっては、王子様の命令によって、あなた様を処刑することだってできるわけですからね???」

「ルイス。もうこれぐらいにしておいたらどうだろうか……」

王子様はそう言いました。

「だめですよ。こういう方は、徹底的に追求しないと、また後でのさばってくるわけでございますから……」

私はまるで悪者扱いでございました。
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