恋の終わらせ方

毛蟹葵葉

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「お昼はどうする?美味しいお店知ってるけど、そこでどこへ行くか話し合う?」

今日会う理由は、正己と顔合わせの話し合いをする事だったが。
そんな事、すっかり忘れかけていた私は思わずそう口に出していた。

言ってすぐに、今日の目的を忘れかけていた事に気がついて、自分のいい加減さに思わず舌打ちしたくなった。
これは、物事を頼む態度じゃない。
あまりに、高梨に失礼だ。

「じゃあ、そこに行こうかな。そこで今日どこに行くか決めようか」

しかし、高梨は怒る様子もなく、何も考えていない提案を受け入れた。
だからこそ彼と一緒に居るのは心地いい。

「ここの、スモークサーモンのクリームパスタが美味しいの」

私は高梨を駅前の大通りから少しだけ外れた路地に案内した。
そこは、真新しい建物が多い大通りとは違い、昔ながらにある建物ばかりで、少しばかり閑散としている。

「由寿さんってこういう穴場的な場所が好きなんだ。食べれればなんでもいいって思ってた」
「そうね」

高梨の口ぶりは、ごもっともで私は基本的に口に入ればなんでもいいタイプの人間だ。


「大通りにもっとお洒落なカフェとかあるじゃない。そこはいいの?」
「大通りって新しい建物ばかりでしょう?人は集まるけど、落ち着かないというか、わざわざ待って、ゆっくり過ごせないで帰るのって勿体なくて」

話しの内容が子供のように上手にまとまらない。それでも、高梨な嫌な顔を一つもせずに話を聞いてくれる。
とにかく一番言いたい事を彼に伝えようと思って、私は話し続ける。

「高梨くんとはゆっくり話したいなって思って。ここなら待たないし、そこまで人目を気にして慌ててご飯を食べる必要ないでしょ」

私が最後まで言い切ると、彼は透明なガラスのように瞳を輝かせた。

「なるほど。僕とゆっくり過ごしたいんだね」
「そんなところ」

仕事以外で彼と逢うのは何度もあったけれど、ゆっくりと話をしたい相手だと改めて思う。
人として彼は魅力的で素晴らしい人なのだ。

「今度は僕がお店を決めたいな」

高梨は少しばかり残念そうにそんな事を言ってくる。

「うん?顔合わせがうまくいった打ち上げで行くってことね」
「そういう事にしておこうか」

「まずは、向こうと由寿さんとの関係から話してくれる?」
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