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アリアの島
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女神。本名はユリエスは購入したばかりの島でお一人様ライフを堪能していた。
しかし、それは、数日で終了した。
目の前に居るのは、目が覚めるようなびしょ濡れの美少女だ。
闇夜のような漆黒の瞳、髪の毛は艶やかで緩やかに波うっている。
そんな少女が真っ白なウエディングドレスを身につけて、粗末なボートに乗ってこの島にやって来たのだ。
正確に言えば、ボートが転覆した所を救い出したのだが。
あぁ、なんて可愛い女の子なのかしら?つまみ食いしたいわ。きっと、いつも頑張っている私のために神様がごほうびをくれたのね。
ウエディングドレス着ているということは、私の花嫁ということかしら?きっとそうね。
ユリエスは都合よくそんな事を考えていた。
「私の名前はアリア。住む島はここからさほど離れていない島です」
アリアはゆっくりとユリエスに自分の身の上を話始めた。
「私の島では不作の年には、祈りの意味を込めてユリ島にいる神に生け贄を贈るのです」
アリアの簡単な説明にユリエスは、驚いて目を見開く。
まるで未開の土地ではないかと思ったのだ。
おかしいわね。島を買うときにそんな話一切されなかったけれど。周囲も静かな無人島だとしか言われなかったわ。
もし、アリアの島で作物が不作になったら、その度にこの島に死体が流れてくるって事かしら?
ユリエスは恐怖に鳥肌が立った。もしも、間に合わなかったらアリアも死体で波打ち際に打ち上げられていたのかもしれない。
アリア以外でもそれは勘弁してほしい。
それにしても、生け贄なんて今時あり得ない話だ。
「え、何それ。おかしいわ」
ユリエスがポツリと本音を漏らすと、アリアはうつ向いて唇を噛み締めた。
「おかしいも何も、私は島から出たことがないので」
「なるほど。そういうことね」
ユリエスは納得したように、うなずいた。
自分の島しか知らないのなら、他の国ではどうなっているかなんて知るはずもない。
「貴女は神様を信じるかしら?」
ユリエスの問いかけにアリアは不思議そうに首を捻る。
「私は基本的に信じません。ですが、場合にもよります」
どうやら、彼女にそこまでの信仰心は無さそうだ。
「なるほど」と呟いてユリエスは逡巡する。
このまま、この島の所有者について説明するべきか、やめようかと考えていた。
どのみち言わないといけないわよね。
「このユリ島の事なんだけど」
ユリエスは、言いにくそうに口を開くと、アリアは瞳を輝かせた。
「貴女が女神なんですね!?」
女神!?
ユリエスは突然言われた言葉に、思わず硬直した。
野獣、化け物、人の皮を被った何か、この世の混沌。好き勝手言われ続けたのに、目の前のアリアだけはそんな優しい言葉を言ってくれた。
大切にしなきゃ。一生……。
ユリエスは心の中で誓った。一方的に。
「だって、女神様は私を助けてくれました。私は神の存在を貴女以外信じません」
ああ、なんてこと!ユリエスはアリアの幸せを更に神に誓うのだった。
しかし、それは、数日で終了した。
目の前に居るのは、目が覚めるようなびしょ濡れの美少女だ。
闇夜のような漆黒の瞳、髪の毛は艶やかで緩やかに波うっている。
そんな少女が真っ白なウエディングドレスを身につけて、粗末なボートに乗ってこの島にやって来たのだ。
正確に言えば、ボートが転覆した所を救い出したのだが。
あぁ、なんて可愛い女の子なのかしら?つまみ食いしたいわ。きっと、いつも頑張っている私のために神様がごほうびをくれたのね。
ウエディングドレス着ているということは、私の花嫁ということかしら?きっとそうね。
ユリエスは都合よくそんな事を考えていた。
「私の名前はアリア。住む島はここからさほど離れていない島です」
アリアはゆっくりとユリエスに自分の身の上を話始めた。
「私の島では不作の年には、祈りの意味を込めてユリ島にいる神に生け贄を贈るのです」
アリアの簡単な説明にユリエスは、驚いて目を見開く。
まるで未開の土地ではないかと思ったのだ。
おかしいわね。島を買うときにそんな話一切されなかったけれど。周囲も静かな無人島だとしか言われなかったわ。
もし、アリアの島で作物が不作になったら、その度にこの島に死体が流れてくるって事かしら?
ユリエスは恐怖に鳥肌が立った。もしも、間に合わなかったらアリアも死体で波打ち際に打ち上げられていたのかもしれない。
アリア以外でもそれは勘弁してほしい。
それにしても、生け贄なんて今時あり得ない話だ。
「え、何それ。おかしいわ」
ユリエスがポツリと本音を漏らすと、アリアはうつ向いて唇を噛み締めた。
「おかしいも何も、私は島から出たことがないので」
「なるほど。そういうことね」
ユリエスは納得したように、うなずいた。
自分の島しか知らないのなら、他の国ではどうなっているかなんて知るはずもない。
「貴女は神様を信じるかしら?」
ユリエスの問いかけにアリアは不思議そうに首を捻る。
「私は基本的に信じません。ですが、場合にもよります」
どうやら、彼女にそこまでの信仰心は無さそうだ。
「なるほど」と呟いてユリエスは逡巡する。
このまま、この島の所有者について説明するべきか、やめようかと考えていた。
どのみち言わないといけないわよね。
「このユリ島の事なんだけど」
ユリエスは、言いにくそうに口を開くと、アリアは瞳を輝かせた。
「貴女が女神なんですね!?」
女神!?
ユリエスは突然言われた言葉に、思わず硬直した。
野獣、化け物、人の皮を被った何か、この世の混沌。好き勝手言われ続けたのに、目の前のアリアだけはそんな優しい言葉を言ってくれた。
大切にしなきゃ。一生……。
ユリエスは心の中で誓った。一方的に。
「だって、女神様は私を助けてくれました。私は神の存在を貴女以外信じません」
ああ、なんてこと!ユリエスはアリアの幸せを更に神に誓うのだった。
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