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トリスタン6
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トリスタン6
王立学園に慣れてくると、少しずつ声をかけられるようになった。
「トリスタン様には婚約者さんはいらっしゃらないの?」
紫の瞳の子はよく僕に話しかけてくるけれど、名前は知らない。
「幼馴染の凄く可愛い子が婚約者なんだ」
「そうなんですの、ねえ」
「あ、失礼。用事を思いついたので」
なんだか、やたら距離感が近いので、少しだけ話したらすぐに逃げるようにしていた。
ポーリーンに会えないのは寂しくて辛かったけれど、ついに帰省の日を迎えた。
「ポーリーン!」
久しぶりに会ったポーリーンは、背が伸びていて昔からとても可愛かったが、もっと可愛くなった。
眩しくて直視できない。
「トリスタン、王立学園ってどんな感じなの?」
ポーリーンの何気ない質問に、僕はギクリとした。
あまり、彼女に王立学園での生活に興味を持ってほしくなかった。
こちらに来たいと言い出したら……。
「……普通だよ。確かに友達はできだけど、楽しくはやってるよ」
後ろめたいせいで、僕は目を見て話す事ができなかった。
「そ、そっか、そっちに一度行ってみたいな。私、流行りのカフェとかそういうところ行ってみたい。前に雑誌に載ってたんだけど」
ポーリーンがこちらに行きたい。と言い出して僕は焦った。
何か、トラブルに巻き込まれるかもしれない。
いや、王立学園に通いたい。と言い出したらどうしたらいい?
もしも、僕以外の男を好きになってしまったら。
僕は田舎者で洗練されたトラヴィス達とは違う。
「ポーリーンが行って楽しめるようなところじゃないよ。いく必要なんてない」
想像するだけで、僕はどうにかなってしまいそうだった。
だって、ポーリーンは、誰よりも綺麗で可愛くて彼女を好きにならない人はきっといないから。
「そ、そうなんだ」
強く言いすぎたかもしれない。ポーリーンが少しだけ強張った顔をした。
だから、僕は慌てて話を変えた。
「あぁ、そうだ。クロエさんの弟のトラヴィスと友達になったんだ」
「え、そうなんだ。どんな感じの人なの?」
「賢くて洗練されてる人かな。婚約者がいて相思相愛なんだよ」
トラヴィスの事を話しながら、ポーリーンが興味を持たないか心配になった。
「僕とポーリーンと同じで幼馴染なんだ。何かと話が合うんだよね」
「そうなんだ」
僕は、トラヴィスさりげなく婚約者がいる事を伝えて、話を変える事にした。
「……いや、それよりも、そっちの話を聞かせてよ」
ポーリーンがどのように過ごしていたのか、僕はずっと気になっていた。
変わり映えしない。と、話していたけれどそれでも、彼女のささやかな日常の方が僕にとってはとても大切な物だから。
ポーリーンから、甥っ子のケンダルの話を聞いた。
懐かしいな。そんなことを考えていると、ポーリーンがまた王立学園のこと聞いてきた。
「……トリスタン、王立学園の話を聞かせてよ」
「別にそんなに聞かせることなんてないよ。だって話しても知らない事ばかりだろう?」
僕は酷いことを言っている。わかっているのに、どうしてもポーリーンには王都に来てほしくなかった。
~~~
お読みくださりありがとうございます
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王立学園に慣れてくると、少しずつ声をかけられるようになった。
「トリスタン様には婚約者さんはいらっしゃらないの?」
紫の瞳の子はよく僕に話しかけてくるけれど、名前は知らない。
「幼馴染の凄く可愛い子が婚約者なんだ」
「そうなんですの、ねえ」
「あ、失礼。用事を思いついたので」
なんだか、やたら距離感が近いので、少しだけ話したらすぐに逃げるようにしていた。
ポーリーンに会えないのは寂しくて辛かったけれど、ついに帰省の日を迎えた。
「ポーリーン!」
久しぶりに会ったポーリーンは、背が伸びていて昔からとても可愛かったが、もっと可愛くなった。
眩しくて直視できない。
「トリスタン、王立学園ってどんな感じなの?」
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あまり、彼女に王立学園での生活に興味を持ってほしくなかった。
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後ろめたいせいで、僕は目を見て話す事ができなかった。
「そ、そっか、そっちに一度行ってみたいな。私、流行りのカフェとかそういうところ行ってみたい。前に雑誌に載ってたんだけど」
ポーリーンがこちらに行きたい。と言い出して僕は焦った。
何か、トラブルに巻き込まれるかもしれない。
いや、王立学園に通いたい。と言い出したらどうしたらいい?
もしも、僕以外の男を好きになってしまったら。
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だって、ポーリーンは、誰よりも綺麗で可愛くて彼女を好きにならない人はきっといないから。
「そ、そうなんだ」
強く言いすぎたかもしれない。ポーリーンが少しだけ強張った顔をした。
だから、僕は慌てて話を変えた。
「あぁ、そうだ。クロエさんの弟のトラヴィスと友達になったんだ」
「え、そうなんだ。どんな感じの人なの?」
「賢くて洗練されてる人かな。婚約者がいて相思相愛なんだよ」
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「僕とポーリーンと同じで幼馴染なんだ。何かと話が合うんだよね」
「そうなんだ」
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ポーリーンがどのように過ごしていたのか、僕はずっと気になっていた。
変わり映えしない。と、話していたけれどそれでも、彼女のささやかな日常の方が僕にとってはとても大切な物だから。
ポーリーンから、甥っ子のケンダルの話を聞いた。
懐かしいな。そんなことを考えていると、ポーリーンがまた王立学園のこと聞いてきた。
「……トリスタン、王立学園の話を聞かせてよ」
「別にそんなに聞かせることなんてないよ。だって話しても知らない事ばかりだろう?」
僕は酷いことを言っている。わかっているのに、どうしてもポーリーンには王都に来てほしくなかった。
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