俺だけのうさぎ

毛蟹葵葉

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プロローグ的なもの

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 職場の騎士団では、「百発百中のレイ」なんて二つ名で呼ばれているというのに、恋愛はなぜか上手くいかない。

 ……ごめん。少しこの二つ名は盛った。

 それは置いておこう。
 実は、俺には悩みがある。告白すること98回いつもフラれ続けてる。
 フラれ続けて、「百告百フラれのレイ」なんて、あだ名がつけられているくらいだ。
 そんな、俺だが今回の告白はきっとうまく行くと思っている。
 99回目の正直だ!
 なぜなら、彼女は俺のことを「いい人」だと話しているのを聞いたし。「可愛い」と話していたと、同僚から聞いたのだ。
 ちなみに彼女……、アナスタシアさんは、俺のいる寮の掃除や食事を用意してくれる女性の職員だ。
 嫌われていない。少なからず好意を持っているという事は、付き合えるかもしれない。という可能性が高い。
 お試しで付き合ってくれるかもしれない。

 俺は淡い期待をして、彼女とのデートを取り付けた。
 そして、レストランで告白をしようと思っていた。
 
「アナスタシアさん。ぼ、僕と付き合ってください!」

 肝試しで置き去りにされた時以上の決死の覚悟で俺は、アナスタシアさんに告白した。

「ごめんなさい!無理です!」
「……っ!」

 アナスタシアさんの返事はほぼ即答だ。
 思わずズコーッと倒れそうになってしまった。
 考える素振りすら見せる様子もない。ちょっと傷つく。
 もう少し、間が欲しかった。結局断るのならあまり必要ないのかもしれないが、キッパリと断られるのは、何だかな。と、思ってしまう。
 いや、今後の付き合いを考えるのなら、変な気まずさを感じたら良くない。だから、これくらいはっきりと断った方がいいのか。

「そ、そっか、ごめんね。急にこんな話しちゃって、今まで通り普通に接してほしいな」

 俺は何とか笑顔を作って、アナスタシアさんに謝った。

 また、フラれてしまった。

 次に、断られたら本当に「百告百フラれのレイ」になってしまう。

 俺は項垂れそうになるのを堪えて必死になって笑顔を作った。
 ……同僚のユステルに、きっと揶揄われてしまう。
 そんなことを思いながら、何気なくアナスタシアさんに好きな人がいないのか聞いてみることにした。

「誰か好きな人いるの?」
「バーニー様が好きなんです」

 またあいつか。

「……」
 
 俺がフラれる理由のほとんどがバーニーだ。
 腹立たしさを感じるが、男の俺から見てもバーニーはいい男で、彼女の気持ちはわからなくはない。
 ……それはそれとしていい気分ではないのだけれど。

 文句を言いたいが、それをして情けなくなるのは自分でいつも我慢している。





~~~

肝試しで置いてかれた経験が作者にはあります
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