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やってる聖女
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「聖女、カオリ様の保護をカドラ家が立候補してきましてね」
「あら、そうなんですか」
そう言われても、とくにショックは受けてなかった。正直どうでもいいのだ。
何かされるのなら、また、話は変わってくるのだけれど。
元家族が新しい家族を迎え入れたとして、だからどうしたという気分でしかない。
「……カオリ様も乗り気のようで、こちらとしては断りたかったのですが、そういうわけにもいかなくて」
私の何でもなさそうな反応にマリネッタは安堵しつつも、言いにくそうにさらに話を続けた。
確かに、カオリがそれを望んでいるのなら神殿はそれを止める事はできない。
「そうでしょうね。カオリさんがその気でしたら、私が神殿を使って嫌がらせをしていると思われても困りますし」
カオリの様子から、私に対して被害妄想を発症しているのが見受けられるので、それを止めたとしたら、嫌がらせを私がしている。と思い込みそうな気がした。
「お披露目で、絡んでくると思うんですよね」
「そうかもしれませんね」
マリネッタの考えている通りになるはずだ。
「私も同伴しますので、安心してください」
「わかりました」
疲れた様子のマリネッタに、何かあるんだろうな。と、察した。
そこに、勢いよくドアが開いた。
ドアの先に立っていたのは見覚えのある二人だった。
「いたわ!悪役聖女アイオラ!」
「……」
聞き覚えのある単語に私はめまいを覚えた。
この女。やってる。
何をやっているのか、というと、説明の必要はない。
こいつも転生者だ。
チラリとマリネッタの顔を見ると、顔を真っ赤にさせて身体を震わせていた。
明らかに怒っている。
「カオリ様、アイオラ様のことをなんと言いましたか?お互い聖女とはいえ、アイオラ様のことをあまりにも軽んじすぎていますよ。それに、二人きりで話がしたいと伝えましたよね。勝手に訪室するなんてマナーとしてどうなんでしょうか?」
淡々とカオリの行動問題を指摘しながらも、怒りを言葉に乗せているがわかった。
「ごめんなさい。でも、アイオラって、一度もこちらには来てませんし、遊んでいるのかと思ってました。だって、聖女の役割を全く果たしていないじゃないですか!」
しかし、カオリにはそれが全く伝わっていないようだった。
神殿に来ていないとはいえ、あまりにもボロクソに言いすぎではないか。
「……アイオラ嬢」
ひょこっと見覚えのある顔その2が私に声をかけてきた。
「あら、お久しぶりですね。申し訳ありません。全然気がつきませんでした。どうでもよくて」
わざとらしく気づかないフリをしたが、クロードは気にした様子もなく勝手に話し続けた。
許可はしていない。
「少しいいだろうか」
「お断りしてもよろしいでしょうか?」
「貴女は、酷い人ですね。婚約者と一度も話をしないし、謝罪も受けようとしないなんて!」
私が断ろうとしたら、カオリは割って入ってきた。
正直迷惑でしかないが、断ったら面倒なことになりそうなので我慢して受け入れることにした。
「わかりました」
「聖女、カオリ様の保護をカドラ家が立候補してきましてね」
「あら、そうなんですか」
そう言われても、とくにショックは受けてなかった。正直どうでもいいのだ。
何かされるのなら、また、話は変わってくるのだけれど。
元家族が新しい家族を迎え入れたとして、だからどうしたという気分でしかない。
「……カオリ様も乗り気のようで、こちらとしては断りたかったのですが、そういうわけにもいかなくて」
私の何でもなさそうな反応にマリネッタは安堵しつつも、言いにくそうにさらに話を続けた。
確かに、カオリがそれを望んでいるのなら神殿はそれを止める事はできない。
「そうでしょうね。カオリさんがその気でしたら、私が神殿を使って嫌がらせをしていると思われても困りますし」
カオリの様子から、私に対して被害妄想を発症しているのが見受けられるので、それを止めたとしたら、嫌がらせを私がしている。と思い込みそうな気がした。
「お披露目で、絡んでくると思うんですよね」
「そうかもしれませんね」
マリネッタの考えている通りになるはずだ。
「私も同伴しますので、安心してください」
「わかりました」
疲れた様子のマリネッタに、何かあるんだろうな。と、察した。
そこに、勢いよくドアが開いた。
ドアの先に立っていたのは見覚えのある二人だった。
「いたわ!悪役聖女アイオラ!」
「……」
聞き覚えのある単語に私はめまいを覚えた。
この女。やってる。
何をやっているのか、というと、説明の必要はない。
こいつも転生者だ。
チラリとマリネッタの顔を見ると、顔を真っ赤にさせて身体を震わせていた。
明らかに怒っている。
「カオリ様、アイオラ様のことをなんと言いましたか?お互い聖女とはいえ、アイオラ様のことをあまりにも軽んじすぎていますよ。それに、二人きりで話がしたいと伝えましたよね。勝手に訪室するなんてマナーとしてどうなんでしょうか?」
淡々とカオリの行動問題を指摘しながらも、怒りを言葉に乗せているがわかった。
「ごめんなさい。でも、アイオラって、一度もこちらには来てませんし、遊んでいるのかと思ってました。だって、聖女の役割を全く果たしていないじゃないですか!」
しかし、カオリにはそれが全く伝わっていないようだった。
神殿に来ていないとはいえ、あまりにもボロクソに言いすぎではないか。
「……アイオラ嬢」
ひょこっと見覚えのある顔その2が私に声をかけてきた。
「あら、お久しぶりですね。申し訳ありません。全然気がつきませんでした。どうでもよくて」
わざとらしく気づかないフリをしたが、クロードは気にした様子もなく勝手に話し続けた。
許可はしていない。
「少しいいだろうか」
「お断りしてもよろしいでしょうか?」
「貴女は、酷い人ですね。婚約者と一度も話をしないし、謝罪も受けようとしないなんて!」
私が断ろうとしたら、カオリは割って入ってきた。
正直迷惑でしかないが、断ったら面倒なことになりそうなので我慢して受け入れることにした。
「わかりました」
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