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リターン オブ パゥワァ!
第1話 これアニメかな?
しおりを挟む全く迷惑な事件が発生した。
アメリカ西海岸の街並みは大地震の爪痕のように瓦礫と化し。
きらびやかな『元ビルだったもの』は、あちこちガラスが吹き飛び、表面は焼け焦げ、窓枠からは真っ黒な煤煙を吐き出しつつ、チロチロといやらしい炎が真っ赤な舌を出したり引いたりしていた。
イラストレーターがよく描きたがるこの地域特有の、美しすぎる湿度のない真っ青な青空が今日もそこには有ったのに。
今日も何ごともないかのように全天に広がり世界観を覆っていたのにだ。
そんなポップな空の下。アメリカ軍の世界最強と称されるM1エイブラムス戦車が列をなして戦陣を敷き、狂ったように砲撃を繰り返している。
これが映画だったら、その能天気な空と地べたの地獄とのコントラストが激しすぎてセンスが良いのか悪いのか判断に悩むところだ。さわやかな風にそよぐヤシの木がいっそうそういう気分にさせた。この風に無粋な硝煙とガスタービンエンジンの排ガスのニオイが混ざってなけりゃなぁ。
戦車が砲撃するたびに雷鳴を思わせるすさまじい爆音が衝撃波となり目に見えて周囲を激震させる。建物がきしみ、すでに割れて窓枠にこびり付いていたガラスが遅れてこぼれ落ちる。乾いた地面の粉塵を巻き上げ、それを映している報道のカメラをカメラマンごとゆさぶり、映像が激しく乱れた。
戦車たちは重く硬い劣化ウランの矢を超音速で撃ち出している。
現代戦車が主に使う砲弾、APFSDS,(装弾筒付翼安定徹甲弾)は
おもしろいことに本当にお尻に羽が付いた非常に細長い矢のような形をしており。
その無数の矢が必殺の威力で向かう先は、破壊された街やクルマや戦車がもうもうと燃え上がり幾筋もの黒煙が立ち上る廃墟の向こう。
陽炎をまとって立ちはだかる白い影。
砂埃が付着した汚れたレンズのカメラがズームすると
その物体は浴びせかけられる湯水のような砲撃を簡単に弾き返し、劣化ウランを霧散燃焼させている。
それは、────
ああそれは……
『こ、これは版権的に大丈夫なのか?』
とアニメオタクなら思わずにはいられない絵面。
日本では知らない人は居ないという超有名なロボットアニメ
その主人公が操る劇中最強の巨大ロボット兵器。※注1
『機動戦機ギャンダム』
全高約20.8メートル
『七階建てのビル』と同じ大きさにも及ぶ
巨大な人型の戦闘ロボットが悠々と立っているのだ。
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※注1 後発機体はもっと強いのがいくらもいたが、主人公のモジャパーが乗ると劇中最強の活躍をした『3.5年戦争』の名機。
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