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26.研修4日目 香原の我儘
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唇を重ねただけで、こんなに可愛い反応をされると歯止めが効かなくなって、もっと反応が見たいとエスカレートしてしまう。
「触って欲しそうだね。」
胸がレースに被われていても、ぷっくりとした綺麗な先端がよくわかる部分に優しく触れる。
「香原さ…んっ…ふぁ…っ。」
口元に手を持っていき、声を出さないようにしながら耳まで真っ赤になっている彼女が愛おしい。
「茜さん、ほんと…可愛い。このままだと、ここで抱いちゃいそうだから、続きは後で、ね?」
乱してしまった服を整え、茜が退社する口実を作りあげる。なんて事ない、簡単な事。今まで頑張っきたんだ、今回くらい我儘言っても大丈夫だろう。それに、こんな事で信用が崩れるように築き上げてきたわけじゃない。
社長室の革張りのソファに、ちんまりと座ってる彼女を見ながら担当者に電話する。
「もしもし?香原です。日本支部の資料明日までで良いから、目を通しておいてくれる?あぁ。そうか。さすがだね。あと、耳に入ってると思うけど、立花君と今井君が当事者だから話も聞いといてくれる?当事者でない植花君から直接私が事情は聞いたから。処分はなしだけど、私の威圧感に彼女具合悪くなっちゃって、もう退社させるからさ。今回のこの企画は、成功させたいから、慎重にね。」
茜は、フランス語が苦手だから、この会話は聞き取れないだろう。少し、無理やりすぎただろうか。肩入れしすぎてると気づかれていても、そんな事はどうでもいい。これから彼女と過ごす段取りをする。
「香原です。社長、いつもありがとうございます。明日の夕方からそちらで懇親会予定になっていますよね?私の予定が立て込んでしまって、今から2泊3日ほど、滞在したい用事が出来て。えぇ。そうです。話がわかる方で助かる。ありがとうございます。では、また後ほど。」
——茜の洋服は…いいか。また、あの人にお願いしよう。
「茜さん。さぁ、行こう。」
「なんだか、とっても悪い事してる気分です。」
火照りが冷めて、乗り気じゃない彼女も可愛らしく見える。
「そう?茜さんは真面目だなぁ。資料は、ほとんどできているそうじゃないか。あとは担当者が目を通すだけだそうだよ。仕事ができる立花君に任せておいたらいいよ。」
意地悪いことを言ってみる。
「方向性が見えていたので、立花君の事だから、しっかりまとめてくれたんだと思ってます…。」
「そうだね。良い同僚を持ったね。」
大人げない発言に気がついていないことをいい事に、良き同僚だと俺自身に言い聞かせるように話した。
茜の手を引き、社長室から出ようとする。
「香原さん…」
——また、呼び方がよそよそしくなってるな。
「ん?どうした?」
「……責任とって下さいね…。」
俺を見つめてくる真っ黒で真っ直ぐな瞳は、社長の建前がないと上手く立ち回れそうにない。
「そのつもりだよ。」
茜は、思慮深い。
人との距離感をとるのが苦手で0か100か、極端な人。
そして、香りの事となると、取り憑かれたみたいに、周りが見えなくなる人だ。
茜を自分の車に乗せる。よっぽどの事がない限り、車は日頃から自分で運転している。
社長になると、プライベートはあってないようなもの。色々な人の視線や言葉が気になる。唯一、車内はプライベートな空間。飾らないでいられるひとりの時間が貴重だったりする。
「ねぇ茜さん。俺さ、ひとりの時間が好きなんだ。茜さんは?」
「あ…そうなんですね…私は、あまり考えた事なかったです。でも、調香する時間は好きなので、ひとり時間は貴重だと思います。私が一緒だと落ち着かないでしょうか…?」
「そうだよね。いろんな意味で落ち着かない時もあるけど、茜さんとならずっと一緒にいたいし、会社もズル休みしたい。」
「そ、それは、ダメです。社長の香原さんも、プライベートのれお君も…素敵です。」
彼女が呼び方を変える意味がやっとわかった。
「ここから先は、完全プライベートだから。」
こくんと頷く彼女。早く、はやく2人きりになりたい。そんな気持ちを押し殺して車を走らせた。
「触って欲しそうだね。」
胸がレースに被われていても、ぷっくりとした綺麗な先端がよくわかる部分に優しく触れる。
「香原さ…んっ…ふぁ…っ。」
口元に手を持っていき、声を出さないようにしながら耳まで真っ赤になっている彼女が愛おしい。
「茜さん、ほんと…可愛い。このままだと、ここで抱いちゃいそうだから、続きは後で、ね?」
乱してしまった服を整え、茜が退社する口実を作りあげる。なんて事ない、簡単な事。今まで頑張っきたんだ、今回くらい我儘言っても大丈夫だろう。それに、こんな事で信用が崩れるように築き上げてきたわけじゃない。
社長室の革張りのソファに、ちんまりと座ってる彼女を見ながら担当者に電話する。
「もしもし?香原です。日本支部の資料明日までで良いから、目を通しておいてくれる?あぁ。そうか。さすがだね。あと、耳に入ってると思うけど、立花君と今井君が当事者だから話も聞いといてくれる?当事者でない植花君から直接私が事情は聞いたから。処分はなしだけど、私の威圧感に彼女具合悪くなっちゃって、もう退社させるからさ。今回のこの企画は、成功させたいから、慎重にね。」
茜は、フランス語が苦手だから、この会話は聞き取れないだろう。少し、無理やりすぎただろうか。肩入れしすぎてると気づかれていても、そんな事はどうでもいい。これから彼女と過ごす段取りをする。
「香原です。社長、いつもありがとうございます。明日の夕方からそちらで懇親会予定になっていますよね?私の予定が立て込んでしまって、今から2泊3日ほど、滞在したい用事が出来て。えぇ。そうです。話がわかる方で助かる。ありがとうございます。では、また後ほど。」
——茜の洋服は…いいか。また、あの人にお願いしよう。
「茜さん。さぁ、行こう。」
「なんだか、とっても悪い事してる気分です。」
火照りが冷めて、乗り気じゃない彼女も可愛らしく見える。
「そう?茜さんは真面目だなぁ。資料は、ほとんどできているそうじゃないか。あとは担当者が目を通すだけだそうだよ。仕事ができる立花君に任せておいたらいいよ。」
意地悪いことを言ってみる。
「方向性が見えていたので、立花君の事だから、しっかりまとめてくれたんだと思ってます…。」
「そうだね。良い同僚を持ったね。」
大人げない発言に気がついていないことをいい事に、良き同僚だと俺自身に言い聞かせるように話した。
茜の手を引き、社長室から出ようとする。
「香原さん…」
——また、呼び方がよそよそしくなってるな。
「ん?どうした?」
「……責任とって下さいね…。」
俺を見つめてくる真っ黒で真っ直ぐな瞳は、社長の建前がないと上手く立ち回れそうにない。
「そのつもりだよ。」
茜は、思慮深い。
人との距離感をとるのが苦手で0か100か、極端な人。
そして、香りの事となると、取り憑かれたみたいに、周りが見えなくなる人だ。
茜を自分の車に乗せる。よっぽどの事がない限り、車は日頃から自分で運転している。
社長になると、プライベートはあってないようなもの。色々な人の視線や言葉が気になる。唯一、車内はプライベートな空間。飾らないでいられるひとりの時間が貴重だったりする。
「ねぇ茜さん。俺さ、ひとりの時間が好きなんだ。茜さんは?」
「あ…そうなんですね…私は、あまり考えた事なかったです。でも、調香する時間は好きなので、ひとり時間は貴重だと思います。私が一緒だと落ち着かないでしょうか…?」
「そうだよね。いろんな意味で落ち着かない時もあるけど、茜さんとならずっと一緒にいたいし、会社もズル休みしたい。」
「そ、それは、ダメです。社長の香原さんも、プライベートのれお君も…素敵です。」
彼女が呼び方を変える意味がやっとわかった。
「ここから先は、完全プライベートだから。」
こくんと頷く彼女。早く、はやく2人きりになりたい。そんな気持ちを押し殺して車を走らせた。
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