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22.研修4日目 その2
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シャワーを浴びながら、昨日の事を身体の気怠さで実感する。
「完全にやってしまった…。この歳で、なにしてるの…。」
冷静になって考えてみると、4つ年下の男の人が30歳目前の女を求める事があるだろうか。ましてや、大企業の社長で、どんな女でも取っ替え引っ替え出来そうなタイプだ。
「いい思い出に、いい教訓にします。」
再会した人とこんなふうに関係を持つなんて、一生ない。日本に帰ったら、忘れよう。れおに抱かれている時、そう思ったのは確かだった。好きになってはいけない人なのだから、この機会を楽しめばいいんだ。
シャワーを浴び終え、扉を開けるとワイシャツに着替えている香原がいた。
「いい眺めだね。茜さん。」
何だか、彼はとても楽しそうに見えた。
「恥ずかしいですッ!」
「ごめんごめん。昨日受け取ってくれた紙袋の中に洋服と下着、化粧品が入ってたんだ。ここ、置いておくね。ワンピースは、ハンガーに掛けてあるから取ってくるね。」
紙袋をベッドの上に置き、あっさりと引き下がる香原。部屋から出た事を確認し、紙袋を覗いてみる。
「あ…すごく可愛い色…。」
淡いパープルの下着のセットだった。良質なレースが使われていて、触り心地が良い。実際に身につけてみると、トップがレースで少し隠れ、見えそうで見えないデザインになっている。ブラと同じ色のサイドリボンのセクシーなランジェリー。グレーホワイトのリボンはシルクの様な滑らかさだ。可愛らしいのに、品がある下着に気持ちが高揚する。
「気に入ってくれたかな?」
香原はベッドルームへ戻ってきて茜に声をかける。胸元と下腹部を隠す様に、もじもじと恥ずかしそうにしている茜に視線が釘付けになった。
「こ、香原さん……あの…手に持ってる洋服を着ても…?」
「………。」
「あの…、香原さん?」
「………………。」
「す、すみません…。聞こえてますか?」
「あっ……き、聞こえてる。うん、よく似合ってる。あぁ、そうだ。このワンピース着てみて。」
——どんなふうに見えたかな…。
香原が少し照れている様に見え、茜まで恥ずかしくなってしまう。
「ありがとうございます…。香原さん、この下着…似合ってますか…?」
茜は何か吹っ切れた様に、積極的に香原の手首を正面から握り、小さい声で言ってみる。大胆な行動に、香原の耳は少し赤くなったように見える。
「なっ……すごく似合ってる。そして、茜さんが大胆なことに驚いてる。」
ジッと見つめると視線が合わない。香原をドキドキさせる事が出来ていると勘違いしそうになる。
「さっきまで恥ずかしがってたのに…調子狂うな…。もしかして俺の事、誘ってる?」
「香原さんが、なんだか可愛くて…。」
「そうか…期待に応えなきゃって思っちゃうな。俺が作った朝食とって出社するのと、今ここで抱き潰されて会社休むのどっちがいい?」
ニコニコとした顔で聞いてくる香原は、いつもの様子に戻っていた。
昨夜から何も食べていない2人のお腹から空腹を知らせる音がして、それがシンクロしたみたいで眼を合わせて笑ってしまう。
「ふふっ…お腹空きましたね。せっかくだから、香原さんが作ってくれた朝食、いただきたいです。」
「そうだね。ここで抱き潰される茜さんもいいと思ったけど。ゆっくり、支度しておいで。」
茜を抱き寄せ、額に軽くキスすると優しく微笑み、香原は部屋を出ていった。
「っ…!」
——少し期待しちゃった自分がいたけど、香原さんが会社を蔑ろにするわけないもんね。…ズルい…。
用意されたワンピースに袖を通す。身体に馴染むけれど、ラインが出ない様なデザインになっている。化粧品の色も形も全て綺麗で、茜自身がワクワクした。
「可愛い…。仕事にいくのはもったいないくらい…。」
身支度が済んで、香原のところへ向かう。
「香原さん!素敵なお洋服です!ありがとうございます。」
「あぁ。とっても綺麗だね。」
「なんて、お礼をいえばいいのか…。代金、お支払いします!」
「いいよ。いいよ。俺からのプレゼントだと思って、受け取ってくれると嬉しいな。」
とても優しい顔をして微笑む香原。
「そんな…ありがとうございます。必ずお返しさせてください!」
「うん。わかったよ。さぁ、朝食をとろうか。サンドイッチとコーヒーしかないけど、食べよう。」
テーブルコーディネートされた様な朝食。野菜がたくさん入ったサンドイッチ、フルーツ、ヨーグルト、コーヒーが並んでいる。
「香原さんって何でも出来るんですね。」
「うーん。そうかな?俺にも出来ないことはたくさんあるよ。」
朝からご馳走を食べた様な満足感のある食事だった。空間に流れる穏やかな時間。それがこのまま続くわけではない。限られた時間だ。
「ご馳走になってばかりで悪いので、片づけさせて下さい!」
「ありがとう。片付けは苦手でね。助かるよ。それじゃあ俺はその間に、新聞を読むよ。」
香原にも苦手な事があると知り、些細な事だけれど、力になれている気がして嬉しくなる。普段は完璧すぎて、年下のはずなのに、年上の茜より経験が豊富だ。
「完全にやってしまった…。この歳で、なにしてるの…。」
冷静になって考えてみると、4つ年下の男の人が30歳目前の女を求める事があるだろうか。ましてや、大企業の社長で、どんな女でも取っ替え引っ替え出来そうなタイプだ。
「いい思い出に、いい教訓にします。」
再会した人とこんなふうに関係を持つなんて、一生ない。日本に帰ったら、忘れよう。れおに抱かれている時、そう思ったのは確かだった。好きになってはいけない人なのだから、この機会を楽しめばいいんだ。
シャワーを浴び終え、扉を開けるとワイシャツに着替えている香原がいた。
「いい眺めだね。茜さん。」
何だか、彼はとても楽しそうに見えた。
「恥ずかしいですッ!」
「ごめんごめん。昨日受け取ってくれた紙袋の中に洋服と下着、化粧品が入ってたんだ。ここ、置いておくね。ワンピースは、ハンガーに掛けてあるから取ってくるね。」
紙袋をベッドの上に置き、あっさりと引き下がる香原。部屋から出た事を確認し、紙袋を覗いてみる。
「あ…すごく可愛い色…。」
淡いパープルの下着のセットだった。良質なレースが使われていて、触り心地が良い。実際に身につけてみると、トップがレースで少し隠れ、見えそうで見えないデザインになっている。ブラと同じ色のサイドリボンのセクシーなランジェリー。グレーホワイトのリボンはシルクの様な滑らかさだ。可愛らしいのに、品がある下着に気持ちが高揚する。
「気に入ってくれたかな?」
香原はベッドルームへ戻ってきて茜に声をかける。胸元と下腹部を隠す様に、もじもじと恥ずかしそうにしている茜に視線が釘付けになった。
「こ、香原さん……あの…手に持ってる洋服を着ても…?」
「………。」
「あの…、香原さん?」
「………………。」
「す、すみません…。聞こえてますか?」
「あっ……き、聞こえてる。うん、よく似合ってる。あぁ、そうだ。このワンピース着てみて。」
——どんなふうに見えたかな…。
香原が少し照れている様に見え、茜まで恥ずかしくなってしまう。
「ありがとうございます…。香原さん、この下着…似合ってますか…?」
茜は何か吹っ切れた様に、積極的に香原の手首を正面から握り、小さい声で言ってみる。大胆な行動に、香原の耳は少し赤くなったように見える。
「なっ……すごく似合ってる。そして、茜さんが大胆なことに驚いてる。」
ジッと見つめると視線が合わない。香原をドキドキさせる事が出来ていると勘違いしそうになる。
「さっきまで恥ずかしがってたのに…調子狂うな…。もしかして俺の事、誘ってる?」
「香原さんが、なんだか可愛くて…。」
「そうか…期待に応えなきゃって思っちゃうな。俺が作った朝食とって出社するのと、今ここで抱き潰されて会社休むのどっちがいい?」
ニコニコとした顔で聞いてくる香原は、いつもの様子に戻っていた。
昨夜から何も食べていない2人のお腹から空腹を知らせる音がして、それがシンクロしたみたいで眼を合わせて笑ってしまう。
「ふふっ…お腹空きましたね。せっかくだから、香原さんが作ってくれた朝食、いただきたいです。」
「そうだね。ここで抱き潰される茜さんもいいと思ったけど。ゆっくり、支度しておいで。」
茜を抱き寄せ、額に軽くキスすると優しく微笑み、香原は部屋を出ていった。
「っ…!」
——少し期待しちゃった自分がいたけど、香原さんが会社を蔑ろにするわけないもんね。…ズルい…。
用意されたワンピースに袖を通す。身体に馴染むけれど、ラインが出ない様なデザインになっている。化粧品の色も形も全て綺麗で、茜自身がワクワクした。
「可愛い…。仕事にいくのはもったいないくらい…。」
身支度が済んで、香原のところへ向かう。
「香原さん!素敵なお洋服です!ありがとうございます。」
「あぁ。とっても綺麗だね。」
「なんて、お礼をいえばいいのか…。代金、お支払いします!」
「いいよ。いいよ。俺からのプレゼントだと思って、受け取ってくれると嬉しいな。」
とても優しい顔をして微笑む香原。
「そんな…ありがとうございます。必ずお返しさせてください!」
「うん。わかったよ。さぁ、朝食をとろうか。サンドイッチとコーヒーしかないけど、食べよう。」
テーブルコーディネートされた様な朝食。野菜がたくさん入ったサンドイッチ、フルーツ、ヨーグルト、コーヒーが並んでいる。
「香原さんって何でも出来るんですね。」
「うーん。そうかな?俺にも出来ないことはたくさんあるよ。」
朝からご馳走を食べた様な満足感のある食事だった。空間に流れる穏やかな時間。それがこのまま続くわけではない。限られた時間だ。
「ご馳走になってばかりで悪いので、片づけさせて下さい!」
「ありがとう。片付けは苦手でね。助かるよ。それじゃあ俺はその間に、新聞を読むよ。」
香原にも苦手な事があると知り、些細な事だけれど、力になれている気がして嬉しくなる。普段は完璧すぎて、年下のはずなのに、年上の茜より経験が豊富だ。
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