年下くんは三十路の私より経験が豊富でした。

オリゴ糖

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4.突然の海外出張 その1

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 立花にキスをされて以降、頭のなかでグルグルと考えてしまう。気が休まらない休日だった。今日は、月曜日。

「あー!ダメダメダメ!試作品を試してみよう。」

普段はほのかに香るのが好きな私は、ウエストラインにつける事が多い。試作品を試す時は、肘の内側につける。

「うん。我ながらいい出来だわ。よし!いってきます。」

毎週月曜日は、会議の日で調香する時間はない。もちろん、立花とも顔を合わせる事が多い。

電車に揺られ会社近くの駅で降りる。普段と変わらない光景。無機質な自動ドアを潜り抜けていく。立花君の姿がなくて少し安心している自分がいた。

「おはようございます。」

皆そう言って部署へ散らばっていく。私もデスクに向かって歩いていく。

「植花。ちょっといいか。」

部長に月曜日の朝から声をかけられる時は、イレギュラーな事があるお知らせ。
おそるおそる内容を聞く。

パリにある本社へ7日間の研修へ行き、現在開発中の新しい香水についてテストマーケティングをしてくる事といった内容をだった。パリに行くのは、本場の調香師達と意見を言い合える環境は、正直嬉しい。
 ただ、一つ問題があるとするなら、立花を含め6人の社員で行かなければならない。

「…わかりました。でもなんでこのタイミング…。」

「社長命令だから、急ですまないが頑張ってきてくれ。今回の商品開発のバックには何があると俺は思ってるんだ。」

「え……。何か…ですか?」

「そうだ。まぁ、俺の勝手な感だがな!頼んだよ!」

手をヒラヒラとさせ、部長は去っていった。
大きなため息が出てしまう。

「随分と大きなため息だな。茜。」

「ひょ…っ!たっ立花君、おはよ!」

「なんだその声。おはよう。研修の件聞いたか?」

うんうんと頷き、愛想笑いをして、立ち去ろうとする。

「仕事だけど楽しみだね。茜と一緒に行くパリだからねぇ。」

ニヤリと笑い、私の反応を明らかに楽しんでいる。そして、周りの女子社員達の視線が痛い。こんなに刺さる視線は初めてかもしれない。

「皆んなで研修頑張ろうね!じゃあ会議の準備があるから、失礼するね!」

そう言い残し、立花の前から去った。
調香だけに専念したいのに、ここ数日で色んな変化が起きている。深いため息が止まらない。
出発は、7日後。それまでに、研修レポート作成して、荷造りと資料作成と試作品たちを選別して、買い揃えなくちゃいけない物も準備して…忙しい数週間になりそうだ。
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