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第7話 一生すきでいさせてよ
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戻ってきたら衣真くんが会議室前で待っていた。部室棟の窓から梅雨の晴れ間の夕陽が差し込んで、衣真くんの頬を薔薇色に染めていた。
「伊藤くん、大丈夫?」
あなたに「早暉くん」と呼ばれる日が来なくても、好きでいていいですか。
「体調微妙かも。帰ろうかな」
あなたを好きでいることがどんなに苦痛でも、僕を虜にして離さないでよ。
「うん。リュック取ってくるよ」
「ありがとう。ごめんね、今休憩時間?」
「ううん。心配で外で待ってたの」
どうして大切な人はほかにいるのに、僕にそういうことをするの。ひどい人。優しい人。
あなたがどんなに眩しくて、どんなにその光が落とす影が闇くて僕をどん底に突き落としても、好きでいていいですか。優しくて残酷なあなたを、好きで——。
「ブリーチしてください」
「おお、ついに。思い切ったね。金髪でいい?」
「いいです。お願いします」
衣真くんはどんな髪型が好きかな、とか、どんな髪色が好きかな、とか、髪を染めたら衣真くんのタイプじゃなくなるんじゃないかな、とか、そういうことを考えなくてよくなった。
黙って好きでいるだけ。
「伊藤くん、大丈夫?」
あなたに「早暉くん」と呼ばれる日が来なくても、好きでいていいですか。
「体調微妙かも。帰ろうかな」
あなたを好きでいることがどんなに苦痛でも、僕を虜にして離さないでよ。
「うん。リュック取ってくるよ」
「ありがとう。ごめんね、今休憩時間?」
「ううん。心配で外で待ってたの」
どうして大切な人はほかにいるのに、僕にそういうことをするの。ひどい人。優しい人。
あなたがどんなに眩しくて、どんなにその光が落とす影が闇くて僕をどん底に突き落としても、好きでいていいですか。優しくて残酷なあなたを、好きで——。
「ブリーチしてください」
「おお、ついに。思い切ったね。金髪でいい?」
「いいです。お願いします」
衣真くんはどんな髪型が好きかな、とか、どんな髪色が好きかな、とか、髪を染めたら衣真くんのタイプじゃなくなるんじゃないかな、とか、そういうことを考えなくてよくなった。
黙って好きでいるだけ。
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